知床遊覧船事故に思う

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法律・税務・士業全般
未だに不明者の捜索が続く、痛ましい知床遊覧船事故ですが、原因は何だったのでしょうか。
荒れた天候など外的な要因もあったのでしょうが、最も大きなものは杜撰な安全管理にあったように思えます。
ではなぜこのような杜撰な安全管理になってしまったのかと言えば、経営者が代わり、前任のベテランから満足に引継ぎもできないまま、運行を続けていたことにあります。
何故ベテランを解雇したかと言えば、人件費削減のために他なりません。
当然のことですが、ベテランより新人の方が人件費は安く上がります。しかし両者の能力は同じではありません。
その能力の差が、不幸にも今回の事故を引き起こしてしまいました。
安全と言うものは決してタダではありません。事故を防ぐための知識と技術を持った者を使うことで、安全というものは維持されています。
その知識や技術を身に付けるためには、少なくない時間やお金といったコストを投入する必要があります。
その本来投じなければいけないコストを見誤り、目先の人件費削減を行った結果が今回の事故なのではないでしょうか。
我々社労士も顧問先やクライアントから、人件費を削減したいという相談を受けることは多いです。実際経営者にとって人件費というものは常に頭を悩ませる厄介なものになっています。
手当の削減や減給など不利益変更も、会社が厳しい状況だからと言われれば、社員は頷いて同意せざるを得ないのが現状で、これ幸いとばかりに真っ先に人件費が削られています。
しかし、人件費を削って提供されるサービスは据え置きにしろと言うのは、随分虫の良い話で、そのようなことを行えば、優秀な人材は当然会社を離れていきます。
企業がコスト削減を行い、営利を追求するのは当然のことと言えます。しかし、それが行き過ぎたものにならないように、労使の間に立ち、バランスを取るのが我々社労士です。
ともすれば、使用者である会社側の代弁者になりがちな社労士は、今回の事故を踏まえて、改めて労使の関係を考えるべきではないでしょうか。
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