こころのポエム Sono25

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ー ベルリンの壁 ー


1989

その時僕はベルリンにいた


つるはしを持った人が通りを行き交い

歴史が終わり 歴史が始まる


空は花火で染められ 酒は地を打つ

終わりのない祭りが続く


僕は壁に近づいて かけらを胸に

そして静かにポケットに入れる


帰り道 賢者が僕を呼び止める

「そのかけらを置いてゆけ」

僕は尋ねる

「どうしてですか?」

賢者は答える

「そのかけらは必要なんだ」

僕は尋ねる

「何のために必要なんですか?」

賢者は答える

「新しい街に壁を作る」
「そのとき それが必要なんだ」

僕は尋ねる

「何故 僕のかけらなのですか?」

賢者は答える

「壁は良くないが 戦争よりましだ」
「君はそれをよく知っているから」

「君のような人が大勢いれば・・・」

僕はかけらを賢者に渡す


賢者曰く

「いずれ花火は 砲弾に代わる」


突然セピア色の風が舞う

遠ざかる 賢者の後を 駆け抜ける





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