【文章作法】【短く切るのがコツ】1文の長さを短くする

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学び

(1)はじめに


 小論文入門の基礎のお話はあらかた修了しました。



 これからは、発展編に入ります。



 ここでは、文章を実際に書くにあたっての具体的な方法について話していきたいと思います。



 基礎編でお話した内容と多少重複があります。



 大事なことは繰り返しお話しますので、「その話は以前に聞いた」と思われるかもしれませんが、ご了解ください。

(2)入試小論文では1文の長さが短いほうがよい



「<1>基礎編(1)序章③「よい文章」でお話した内容を思い出しましょう。



☞ポイント
「よい文章」とは「わかりやすい文章」

  みなさんの多くの方は文章のプロを目指すのではありません。



 ですから、いわゆる美文、巧い文章を必ずしも書かなければならないわけではありません。



 文章でメシを食わないまでも、将来、社会に出てから日常的に文章を書く機会は増えてくると思います。



 報告書、決算書、稟議(りんぎ)書などなど。



 こうした文書は誰にしても読んでわかりやすく、要点がすぐにつかめるように書くことが求められます。



 「わかりやすい文章」とは「短くて簡潔な文章」です。



 それとは逆に、長くてダラダラと書かれていて、何を言いたいのか一読しただけではわからない文章があります。



 下にこうした悪文の例を挙げます。



<悪文例1>
 バイオテクノロジーの発展は、遺伝子治療や代理出産を可能とし、またクローン技術は再生医療の分野でも希望をもたらしている一方、高度な医療技術やこれにかかわる知識は専門医にしか理解できず、医療現場では専門外の医師や看護師などの混乱を招く恐れがある。医療者は専門にこだわらずに広く医療知識の習得に向けて自己研鑽に努めるのはもちろんだが、個人の学習には限界もあり、特に難解な専門用語については、医師は専門外の医療者や患者に平易な言葉で説明できるよう、表現能力を鍛えておくことが求められるが、それには共通の情報が前提となり、これはカンファレンスの場だけではなく、日ごろから医療者間で情報交換することが必要である。


 <悪文例1>の問題点は大きく2点あります。



 1)1文が長い。



 2)最後に書かれている結論(赤字の部分が要点)がダラダラとしてい て、要領を得ない。



 そこで、<悪文例1>をわかりやすい文章にするために、次の2点に留意して添削します。



 ① 1文をできるだけ短くする。



 ② 結論を最初にもってくる。



 ③ 段落分け。「結論」と「理由」とに分け、2段落構成に整理する。



<訂正例1>
 病状をはじめ難解な専門用語については、医師は専門外の医療者や患者に平易な言葉で説明できるよう、表現能力を鍛えておくことが求められる。加えて、医療者間での情報の共有がその前提となる。このように考えるのは、次のような理由からである。
 バイオテクノロジーの発展は、遺伝子治療や代理出産などの生殖医療を可能とした。またクローン技術は再生医療の分野でも希望をもたらしている。その一方で、高度な医療技術やこれにかかわる知識は専門医にしか理解できず、医療現場では専門外の医師や看護師などの混乱を招く恐れがある。医療者は専門にこだわらずに広く医療知識の習得に向けて自己研鑽に努めるのはもちろんだが、個人の学習には限界もある。そのためには、カンファレンスの場だけではなく、日ごろから医療者間で情報交換することが必要である。

 添削するに際して、接続詞「加えて」や指示語「その一方で」「そのためには」を使用しました。

 この方法については、「<1>基礎編(3)小論文の基礎⑦接続詞と指示語」で詳しく解説しました。



 <訂正例1>のように初めに結論を書く頭括型は小論文のほかに、面接やディベートでも使える方法です。



(3)指示語や接続詞を用いる


<悪文例2>
 ブログや掲示板などの電子媒体には情報があふれかえり、従来の紙媒体を駆逐する勢いであり、人々の読書量は減り、書籍や新聞・雑誌の売り上げが激減している。かつては電車内で本や新聞を広げて読む光景が当たり前に見られたが、今や車内の多くの人はスマホの画面を食い入るようにみつめ、ゲームに興じているばかりか、大学の構内でも、学生は本を読まずに、ネットのチャットや携帯電話でのおしゃべりに時間を費やしているように、インターネットは文化面でもさらに多大な変化をもたらしている。
 グローバリゼーションとは、このように人々の行動様式を画一化し、文化の多様性を損なう弊害を持っていて、人々はネットの持つ利便性や効率性に心を奪われるあまり、大切な何かを失いかけているのはよくないので、世界の政治経済の動きからいったん離れ、身近な自然に親しむこと、自分だけの思索や内省の時間を取ることが必要である。休日に携帯電話を家に置き、本だけを持って公園に出かけ、木陰のベンチに腰をおろし静かに本を読むといった孤独な時間と心のゆとりを取り戻してみることを忘れてはいけない。


ヒント。第1段落の結論(赤字の部分)を最初に持ってくる。接続詞や指示語を適宜用いる。



<訂正例2>
 インターネットは文化面でもさらに多大な変化をもたらしている。ブログや掲示板などの電子媒体には情報があふれかえり、ネット環境は情報であふれかえり、従来の紙媒体を駆逐する勢いである。その結果、人々の読書量は減り、書籍や新聞・雑誌の売り上げが激減している。かつては電車内で本や新聞を広げて読む光景が当たり前に見られたが、今や車内の多くの人はスマホの画面を食い入るようにみつめ、ゲームに興じている。一方、大学の構内でも、学生は本を読まずに、ネットのチャットや携帯電話でのおしゃべりに時間を費やしている。
 グローバリゼーションとは、このように人々の行動様式を画一化し、文化の多様性を損なう弊害を持つ。人々はネットの持つ利便性や効率性に心を奪われるあまり、大切な何かを失いかけている。それには、世界の政治経済の動きからいったん離れ、身近な自然に親しむこと、自分だけの思索や内省の時間を取ることが必要である。休日に携帯電話を家に置き、本だけを持って公園に出かける。木陰のベンチに腰をおろし静かに本を読む。そんな孤独な時間と心のゆとりを取り戻してみることを忘れてはいけない。

① 結論を文の冒頭に移動しました。


 「インターネットは文化面でもさらに多大な変化をもたらしている。」



②接続詞や指示語=「その結果」「それには」を使いました。


 文と文との相互の関係を考えて適切な接続詞をチョイスする。


原因:「ブログや掲示板などのネット環境は情報であふれかえり、従来の紙情報を駆逐する勢いである。」



👇 接続詞・指示語「その結果」「いきおい」「このため」「これにより」



結果:「人々の読書量を減らし、書籍や新聞・雑誌の売り上げを激減させている。」

短く切る.jpg



(4)今回のまとめ


①「よい文章」とは「わかりやすくて簡潔な文章」



② 1文をできるだけ短くする。



③結論を最初にもってくる。



④段落分けをする。



⑤接続詞や指示語を用いる。





受験生のみなさん、小論文に関すること、何でも質問してください。


コメント欄に書いてね。


それでは、がんばってください。

以上、OK小論文塾長、朝田隆(りゅう)でした!


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