カーボンニュートラル宣言に至るまでの外部環境の解説

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こんにちは!

今回は、何故日本はカーボンニュートラル宣言するに至ったか、以下の観点から少しだけ掘り下げていきたいと思います。

1.パリ協定
2.ESG投資
3.産業界の動向

パリ協定

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2015年のCOP(国際気候変動枠組条約条約国会議)21にて、「パリ協定」なるものが採択されて以降、欧州を中心に脱炭素の動きが加速しました(パリ協定は京都議定書の後継の位置付けです)。

ちなみにパリ協定で最も有名箇所を、外務省は次の通り和訳しております。

世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を、この努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させることとなるものであることを認識しつつ、継続すること。
出典元:パリ協定|外務省
パリ協定における肝心なポイントは「産業革命以前に比べて、気温上昇幅を最低でも2℃、出来れば1.5℃未満に抑えましょう。」という点ですね。

これが改めて世界の共通認識となった上、批准国は5年毎に国別貢献(NDC)の提出・更新が課されるようになった為、各国は対応に迫られることとなりました。

ESG投資

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ESGとは「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」の頭文字をとったものです。

このような非財務面への取組も確りしている企業への投資を促進していきましょう、というESG投資の動きが昨今強まっております。

何故でしょうか?それは2008年のリーマンショックが大きな契機になっております。
リーマンショックを経て、投資家間で次のような考え方の変遷があります。

投資家A「行き過ぎた業績主義や、短期的な利益を目指す投資は良くなかったかもしれない・・・。」

投資家B「一方、ESG評価の高い企業は長期的に持続可能であり、財務リスクも低いと考えられる。今後はこういった企業へ長期的に投資すべし。」

更にSDGsやパリ協定がそれを後押しする形で、年々ESGマネーは増えている、というのが大まかな流れです。

それに伴い、アクティビスト(物言う株主)や金融機関の間で、次のような事例も年々増えてきております。

投資家C「石炭火力発電事業のような、温室効果ガスを多量に排出する事業からは資金を引き上げる!!」

資金調達の観点でも、各企業のESGへの対応は喫緊の課題と言えるでしょう。

産業界の動向

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企業としてカーボンニュートラルへの対応が必要な理由は他にもあります。

それは、“カーボンニュートラルへの対応をしない場合、顧客から取引を打ち切られるリスクがある“為です。

環境意識が高く、影響力の大きいGAFAM(Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft)を始めとした企業が、次のような宣言をします。

GAFAM「サプライチェーン全体でカーボンニュートラルへ取り組む。」

これをもう少し噛み砕くと、GAFAMから取引先に対する次のようなメッセージになります。

GAFAM「我々が調達する部品の製造プロセスや、物流のプロセス等でもカーボンニュートラルを達成してくださいね。」

その結果、サプライヤー企業や物流会社もカーボンニュートラルへの対応が必至となりました。
逆に対応しない場合は、取引先として不適格と判断されてしまうリスクも孕んでいます。

日本でカーボンニュートラルが宣言される以前から、既に産業界でこのような動きが出てきていたのです。

纏め

以上、カーボンニュートラル宣言に至るまでの外部環境を「パリ協定」、「ESG投資」、「企業の営業活動」の3点から解説して参りました。

こういった外部環境を踏まえると、日本としてカーボンニュートラル宣言をするのは不可避だったようにも思えますね。

ありがとう御座いました!
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