書籍一冊を校正しました

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コラム
今年に入ってから、「書籍一冊分の誤字脱字をチェックしてくれないか」
という依頼が入りました。(※別所での受注)

正直なところ、最初はギョッとしたのですが、
送られたデータを見てみたところ、
見開き2ページ分の文字数は1000字に満たない感じですし、
挿絵や漫画も全体の1~2割くらい入っていまして、
だいぶ子供向けの読みやすい書籍だと感じました。

それでも200ページは越えており、
私は文字数で校正のお値段や納期を決めているので、
「見積りするだけでも大変だぞ…」と、
少し気合を入れたのを憶えております。

文字数で値段を付けている……ということで
ある程度お察し頂けるかとは思いますが、
文字数が多くなればそれだけ値段も高くなりますし、
そのお仕事に携わる日数も多くなります。

私には幸運にも、定期的に依頼してくださる
懇意なクライアント様がおりまして、
あまり長期に渡るお仕事というのは
なるべく受注したくないと考えていました。
(懇意にしているクライアント様のお仕事を優先しても
大丈夫であるなら、受注しても良いのですが💦)

それでも前向きに検討したのは、
大きな報酬を頂けるお仕事になるというのは勿論ですが、
何よりもその校正する文章内容が、
『日本の歴史』だからでした。


私は無類の歴史好きでして、
世間ではおそらく“歴女”とカテゴライズされる者の一人でしょう。
自分でも歴史を絡めた小説を執筆しておりますし、
その作品を小説サイトで特集して頂いたこともあります。

なので内容自体には凄く興味がありましたし、
私の知識が校正に活かせるのならと、
とりあえずお見積りをさせて頂きました。

端数をサービスさせて頂いたものの予想通り大きな報酬額となり、
キャンセルされるかなと思いましたが、
「それで結構です。お願いします」とご依頼してくださいました。


誤字脱字チェックのみのご希望とのことで、
一度誰かのチェックが入っているものなのかとも思いましたが、
実際作業に入ってみると日本語的にかなり読みにくく、
「これは時間がかかるぞ…」という印象を受けました。

ご依頼された方と執筆者が違うので一概には言えませんが、
私の特技は『市販されている小説でも誤字脱字を見つけてしまう』なので、
プロの編集者が校閲したものでない限り、
かなりの誤字脱字、または違和感のある言い回し等、
おそらくご本人が思っている以上に見つけてしまいます。

誤字脱字だけをチェックしろと言われれば、
それだけをご指摘するのも可能ですが、
さすがの読み難さと文章ルールの逸脱も気になったので、
そちらもご指摘させて頂くことにしました。

納品は文章を直接修正するわけではなく、
PDFデータに直接赤を入れて欲しいとのことでしたので、
文章の修正点に赤色のマーカーを引き、どう修正するかは
別のメモ帳(テキストドキュメント)にて送付する
という形で納品させて頂きました。

修正の内容ですが、
誤字脱字、ルールの逸脱、意味不明点の3つを違う印で分類し、
クライアント様には選んで参照できるようにしました。
(誤字脱字のみ参照したければ、そうできるようにの意)


私の好きな日本史ということで意気揚々と作業に取り掛かりましたが、
内容的にはかなり偏った主観や差別的な意見も書かれており、
精神的には結構堪えました。

ですが主観は人それぞれだし、むしろそれを伝えたいがために
この本を出版したいのだろうとも思いましたので、
自分の意見は置いておき、お仕事として割り切ろうとしました。

しかしさすがに差別的な意見については、
どんな読者が読んでもよくない印象を受けるのではと思われる点のみ、
「この表現のままで大丈夫でしょうか?」と
やんわり注意コメントも入れておきました。(※1,2点のみ)

基本的に内容は歴史なので、
私の知らない素敵な偉人のエピソードがいくつかあり、
何度か校正しながら涙が止まりませんでした。
過酷な時代を一生懸命生きる人間の姿、
それを感じられる歴史はやはり尊いなと、改めて実感した次第です。


文字数としては15万字超の作品でしたが、
約2週間(稼働日14日)で校正作業を終えることができました。
今回はおそらく漫画やイラスト等も挿入されていたので
この日数で終えることができましたが、
校正納期の目安としては、1日1万字といったところです。

納品後にクライアント様から
『ありがとうございました。丁寧でした』と、
お褒めの言葉を頂きましたが、少し残念なこともありました。

納品後のことですが、
ダミー文章だった部分に正しいデータが挿入され、
更に作者の挨拶文が追加された新しいPDFデータを送付され、
『未校正の部分のみお願いします』
という追加依頼をされました。

追加依頼自体は別に良いのですが、
私の報酬計算が文字数から算出しているので、
見積り外の部分の校正を無料では承れません。

そもそも、最初に渡された校正用の文章データに、
ダミー文章が入っていることも「?」でした。
差し替えるのであれば、事前にそのように言って頂きたいし、
こちらとしては文字数で報酬額を決めているため、
なるべくならダミー文章はやめて頂きたいところです。
何故なら、後で文章を差し替えられたら金額が変わるからです。

ですが、なるべくクライアント様の意向に沿いたいとも思いましたので、
今回は初回のご依頼ということもあり、
ダミー文章部分は無料で作業することとし、
追加の挨拶文(※見積り外)については、
「まずはこれまでの作業分をお支払いして頂き、
その後で改めて追加依頼して頂ければ作業致します」
とさせて頂きました。

結局クライアント様からは、「ではいいです」ということで、
挨拶文の追加依頼はされず、作業分だけお支払いして頂きました。


こちらとしては、クライアント様の書籍一冊分の校正を
ちゃんと最後までご協力したいという気持ちはあったのですが、
挨拶文が抜けているだとか、ダミー文章の部分は後で出来るとか
そういった事情は私ではわかりません。

なのでお見積り時に必ず、校正するページ数&文字数をお伝えし、
双方で校正範囲を確認し、合意の上でのみ作業へ入るようにしています。
もしご事情があるならば、お見積り時に言って頂ければ
ある程度考慮することも可能ですが、
お互いに把握&確認をしないと、
双方にとって良いお取引にならない、ということを学びました。


本来このような書籍一冊分の依頼は受注してこなかったので、
そもそも書籍の校正に文字数を数えて報酬額を出すというやり方が
適当だったのかは謎ですが、
私としては普段10万字を超えるような長い文章の校正を
受注したのは初めてだったので、貴重な経験となりました。

もし今後、書籍の校正をやるとしたら、
書籍校正専用の料金プランを設けようとは思いますが、
今のところはとりあえず、懇意にしているクライアント様もおりますので、
その方にご迷惑にならないような程度に
受注しようと思っています。

また、双方齟齬(そご)が無いよう、見積り時には必ず
校正範囲の確認をしっかりとしないといけないとも思いました。


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