【後編】事務員は忙しいのか?暇なのか?~繁忙期編~

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前回は、保育園で働く事務員の繁忙期について4月までを紹介しました。
今回は後編として5、6月について紹介します。

※あくまで当園の事務員にとっての繁忙期です。他の園や会社の実態と異なる事をご理解いただきますようお願い申し上げます。

〇事務員にとっての繁忙期 ~5月・6月編~

5月のゴールデンウィーク明けから本格的に忙しくなってきます。それは決算・役員会の存在です。
6月末日までの大まかなスケジュールは以下の通りです。
・決算書作成の為の書類集め
・決算書類の作成
・決算書の確認
・決算書を監事に提出
・監事による決算監査
・理事役員の招集
・理事による決算承認理事会
・事業報告等、計算関係書類及び監査報告の備え置き
・評議員役員の招集
・評議員による決算承認評議員会
・各役員会の議事録作成
・資産の変更登記
※代表理事の変更登記(場合による)
それでは、5月からのスケジュールを紹介していきます。

5月6日前後 決算書作成の為の書類集め

GW明け、まず決算書を作成するために必要な書類を集めます。
・通帳残高証明書
・各種通帳
・定期預金証書
・該当年度に購入した固定資産関係書類
・未収金・未払金の明細 等々
普段の業務も行っていますので、数日間の余裕をもって集めます。また中には4月から集められる書類もありますので、その時に集めておく場合もあります。なお「通帳残高証明書」等、発行に手間や費用が掛かる物もあるので、事前に調べておくことがスムーズに集められます。

5月13日~14日 決算書の作成

大体、1週間もあれば資料は集まります。資料が集まったら次は決算書の作成に入ります。
作成の手順について、ここに書くと長くなりますので各自調べて下さい。
大切なことは、1人で作成するのではなく、委託している会計士等、決算書を作成できる人に一任し、サポートに徹することです。

5月15日 決算書の確認

完成した決算書を確認します。まれに数字の誤りや記載漏れがある場合もありますので、必ず確認します。同時に数字の確認や明細書に付箋を貼る等の作業も行いますが、この確認作業は「何を購入したのか」、「前年度との差異は何が原因か」等、運営上知っておくべきことを確認する意味もありますので、時間が掛かっても正確に調べていきます。

5月18日 決算書を監事に提出

完成した決算書を監事に提出し、監査の依頼を行います。監事は決算書の監査が法令で義務付けられています。監事は届いた決算書を調べてから、後日、監査を行います。

5月21日 監事による決算監査

監事による決算書監査を行います。監事は会計帳簿や決算関係書類に誤りや記載漏れがないか等、国が提示するチェックリストに照らし合わせながら監査を実施し、最後に「監事監査報告書」を作成します。

5月22日 理事役員の招集

監事監査終了後、決算理事会を開催する1週間前までに招集文を発送します。
この「1週間」という期間は理事役員が決算書を確認します。つまり決算書が完成したからと言ってすぐに理事会を開催する事が出来ません。

5月29日 理事による決算承認理事会

監査を受けた決算書の審議、定時評議員会の日時、場所、評議員会で審議すべき議案(決算書審議、役員、報酬基準等)について審議します。注意すべきは、この時点で決算書の承認は受けられないという事です。
法改正後、決算書の承認は評議員会で行われます。理事会は評議員会に議案を諮るための準備機関のような位置づけになります。
同日、理事会で承認を受けた決算書(=事業報告等、計算関係書類及び監査報告書)を事務所への備え置きます。これは定時評議会の2週間前から5年間設置しなくてはならないと法令によって決まっています。この翌日から2週間の機関を空けて、評議員会が開催できます。

5月30日 評議員役員の招集

決算評議員会を開催する2週間前までに招集文を発送します。
この「2週間」という期間も法令で決まっていることです。
この期間に評議員は決算書を確認します。場合によっては確認の為に来園した評議員の質問に対応しなくてはなりません。

6月13日 評議員による決算承認評議員会

理事会で承認された「評議員会で議案すべき議題」について審議を行います。ここで決算書の審議を行いますが、他にも事業報告や年度によっては新役員の選任や報酬基準の審議・承認を行います。この評議員会で承認をされれば、初めて、決算書は承認扱いになります。

6月14日 各役員会の議事録作成

理事会、評議員会の議事録を作成します。これは当年度の資産を登記する場合、役員会の議事録が必要になるからです。時間が掛かりますので、早めに取り掛かりましょう。理事会議事録は理事長・監事2名の記名押印、評議員会議事録は選出された議長、署名人2名の記名押印が必要になります。なお記名と押印を貰うには割と時間が掛かるので注意が必要です。

6月21日 資産の変更登記

承認を受けた決算書の変更登記を行います。法人は資産の登記しなければなりません。毎年、資産は変更しますので、その度に変更登記が必要になります。変更登記は法務局に書類を提出しますが、再提出を指示された場合、6月中の登記に間に合わない可能性があります。ですので、行政書士に委託することをおススメします。行政書士に委託した場合、提出に必要な書類等を教えてくれるので非常に助かります。

6月22~末日 後処理

ここまでくると残るは、決算書類や役員会等の後処理だけです。
決算書承認後、県の担当部署、行政機関に「収支分析表」や「監事監査報告書」を提出します。また情報開示義務により、決算書や現況報告書をホームページで公開できるよう設定します。
これらの作業をもって決算業務は終了します。

〇終わりに

以上が事務員の「繁忙期」になります。

事務がメインになり専門用語も多く、初見の方には理解しにくい部分が数多くあると思います。私自身も用語を覚えるまで長い時間が掛かりました。

もちろん、この業務以外にも通常業務を行っていますし、ここには書いていない雑務等も行っています。毎年この2ヵ月間は業務が格段に増えるため、特に忙しく感じます。

しかし、この時期を乗り切れば、いよいよ「閑散期」です。
次は事務員の「閑散期」について紹介します。

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