実は、夫の不倫相手の女とは、
数か月前に会話していたことを後で思い出した。
子供の参観日があって
昼過ぎに早退したある日の午後。
私は仕事がずれ込んで
子供の参観日に間に合うように
慌てて自分の車に向かって駐車場を走っていた。
その時に駐車場で女とばったり合った。
同じ職場だし、今まで何度か女とは会話したこともある。
私は愛想が良い方だし、目が合ったので
私の方から元気よく
「お疲れ様で~す。
これから子供の参観日で…。
遅れそうで…もう、大変」と笑って話しかけると
女:「お子さん、まだ小さいですもんね。
大変ですね~」と愛想良く答えてきた。
私:「○○さんの(女の名)お子さんは、
もうどのくらいになるの?」
(私は、心理師の特性なのか?
日頃から人との会話はとてもよく記憶されている。
かなり前の女との会話で
子どもが一人いることは記憶していた)
女:「うちはもう、大学生。
もう家から出て生活しているから楽だよ~」
私:「もう、お子さん、そんなに大きくなったの~。
いいな~。もう手がかからない歳で。
うらやましい~(笑)」と
すれ違いざまに和やかに会話していた。
職員数の多い職場である。
普段、同じ部署で一緒に働いていない限り
それぞれの職員の子供が
“今、いくつに成長しているか”なんて、普通、知らない。
よく考えてみれば、
「まだお子さん小さいですもんね~」と
サラリと会話に出てくる辺りは
女は夫の不倫相手なのだから
我が家の子供の年齢もよく知っているわけである。
私はこの後、この女(と夫)のとんでもなさに
度肝を抜かされていくのであるが…
不倫発覚前の話とはいえ
妻とこんなに和やかに笑顔で会話する不倫女は
妻もいる職場で社内不倫を堂々とするだけあって
肝が据わっている。
このぐらいの人間でなければ、
社内不倫はできないのだと思う。
表面上、とても優しくいい人に見える夫と不倫女。
外見はニコニコ明るくても
その内面は、普通の人間ではないのである…夫も。
二人の存在を通して
「人間不信」というものが
実際にどういうものかを痛感した。
信頼して自分の人生のパートナーとして選んだその人に、
皮肉にも「裏切り」「人間不信」
「人間のクズとはどういうものか」を教わるとは、
結婚したあの時、夢にも思わなかった…。
まさか、自分の人生に
そんなものが用意されているとは思わなかった。
人生、何があるかわからない…。