連載「霊能者かんなぎの人生」vol.10 霊能家系に生まれても、異端である

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なんとなく、人生を書き綴ろうと思った事に対した理由はない。
ただ、同じような思いをしている人がいるならば、そういう人に届けば良い、そう思った。



10代後半の私は、常に「普通」に擬態したくて必死だったように思う。

自分が何か人とズレていることを認識していたからこそ、「普通」でいれば、きっと人生が楽しい、そんな風に思っていた。
どこか仕組みがズレていることを知られてしまったら、簡単に人に見捨てられる、そんな風に思っていた。


バイトをして夜遊びをする事を止めなかったのも、それが「普通」に擬態する行動の一つだったように思う。

普通の10代として、遊んで、バイトして、また遊んで。
そんな中身のない日々を送る事で、自分の中の色々から逃げていたのだとも思う。


時々、うっかりと友人が今から言おうとしていることを一語一句間違えずに先に再現してしまって場が凍りついて、
「何で・・・?」という言葉と共に向けられる目が怖かった。
そういう事を不定期にうっかりやってしまう私がいて、
別の時には、うっかりと心の中で「うるさいな黙れ」と悪態をついたら、「今、耳元でうるさいな黙れって声がした」と言われた事もあった。
何で心の声が相手の耳元にがっつり届いてしまったのか、届かなくて良い言葉なのに。
こうなるから気をつけて、となんとなく言った事がその通りになったり、まあ、色々なパターンがあった。


それらを「すごいでしょ」と思う事なんて微塵もなくて、私はただただ「ヤバイ」としか思っていなかった。
「普通」に擬態したいのに、「変な人」だと思われたくないのに、邪魔しないでくれ。
それぐらい本気で「ヤバイ」と毎回思っていた。


向けられる目は、恐怖または興味。
そのどちらも向けられたくはなかった。

霊感あるの?という言葉が本当に嫌いで、そういう事をうっかり言わないように気を遣って、
そうして擬態することに必死だった。


でも、擬態しようとすると、行動ってやっぱり不自然になる。
その不自然さは、「普通」に楽しく擬態して人生を送るにはマイナス要素にしかならなかった。


だから、余計な事を言わなくていいように、10代女子らしいくだらない話をして、
くだらない事をして遊んで、くだらない事でゲラゲラ笑って、そんな中身のない日々を送る事を選んだんだと思う。
神社仏閣なんて近寄りたくもなかったし、霊的な何かだって関わりたくもなかった。
絶対に、「普通」に擬態したまま恋愛して、結婚して、幸せに生きる、そんな決意すらあった。


自分の中の様々から逃げ続けていれば、いつかなかったことになるんじゃないか、そんな期待もあった。
だって、修行を止めたらそういう感覚って鈍くなるじゃん。
だったらそうしたらいいんじゃないか、そうしたら本当に「普通」になれるんじゃないか、そう思っていた。



しかし、恋愛してみてもなんだかしっくりこない。
結婚もなんだかどうにも上手くいかない。
良い男なんてこの世にいないんじゃないか、と思うぐらいの目に遭って、普通なんて程遠い苦労をする事になって、
普通に愛されて普通に幸せになって、普通に人生を送る、しかもなんとなく平穏に。
そんな望みは叶うことはないまま今に至る。



何人か、過去に知り合った霊能者さんに言われた事。
「女性で霊能力があって神事を行うという人生の人は、男運がひたすらにない」
本当にそうだと思う。

そうして、逃げ回っていても良いことがない。

とはいえ、じゃあやりますよ、修行でもなんでも、と決意しても実は良いことがない笑



人生そのものが修行であり、試練であり、ドSの神々に「これも乗り越えられるだろう」と嬉しそうに、
一つ終わればまた次の試練を与えられ続ける。
私は何度もこの道からの逃亡を計ったが、結局こうやって戻されてここにいる。


今は本当に開き直っているが、10代後半の私は思い返せばなかなかに可哀想だと思う。
いや、何言ってんだと思うかもしれないがこの記事でぐらいは言わせてくれ。



そもそも「普通」に擬態しようとして恋愛をしたところで、「恋愛」というものが実のところよく分かっていなかったし、
「恋愛」したい程に人を好きになる、という事が一度もなかった。
ただ、擬態の為に恋愛をした結果、まあ、とんでもない男に当たり続けて来た。
誰か一人でも「恋愛」というものの楽しさ嬉しさを教えてくれていれば、10代後半の私はもう少し幸せだったんじゃないだろうか。



何人か、過去に知り合った霊能者さんに言われた事。
「女性で霊能力があって神事を行うという人生の人は、男運がひたすらにない」

これを10代後半の女子にも当てはめるなんて、なかなかに酷いんではないか。
寧ろ、その頃に存分に楽しい思いをさせてから、「はい、修行頑張りましょうね」と言ってくるぐらいの優しさはなかったのか。



なんだか思い返すと忌々しい気持ちになるが、人生を語ると決めたのだから仕方ない。
ここから数話は、そんな恋愛や結婚の話がメインになると思う。
これもまた、同じような経験をしてきた人に、何か救いになれば幸いだ。




そんな私の人生を語る事に意味があるのかはわからない。
ただ、自分がもし、異端だと思っている人がいれば、
また、これから先の話を通して、苦しい人生を歩んでいる人に「ひとりじゃない」と思って貰えれば、と思い、
不定期ながら人生を語らせていただこうと思う。
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