秘密の場所Ⅲ

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コラム
家にあった本は、父が趣味で集めたもの。
絵本じゃなかった。
まだ3歳の私には漢字はおろかひらがなも読めない
それでも、本の中の挿絵に魅了されどんな物語なのか描いた
本はジュール・ルナールの「にんじん」
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの「若きウェルテルの悩み」
モンゴメリ「赤毛のアン」 ジークムント・フロイト「夢判断」
小さい子が読むには、難しすぎる本ばかりだ。
哲学書・心理学書・政治革命・他
それでも、むさぼるように本を開き挿絵から想像できる内容を模索した。

それと並行して、私は時々あの場所に行った。
あの場所は、いつもお天気なのに水たまりがある。
水たまりをぴょんと飛び越え、導かれるようにあの家に
いつも数㎝ 開いている玄関
そこに指をかけ玄関を開ける「こんにちは」
いつもニコニコと待っているおばあさん
喘息の発作が苦しい事を告げた。
おばあさんは頷きながら、「小さいあなたには少し過酷だねぇ。
信じなさい。あなたには乗り越える力があることを。
自分の運命・使命・壁をもっと耳を研ぎ澄まし自分の信じる道を行きなさい」
何のことか理解できなかった、でもおばあさんの目の輝きは忘れていない。
そして私は続けて聞いた。
「ねえ、おばあさん。ここは他にもだれか住んでいるよね?
でも、誰も見ないのは何故?」
優しく微笑んだ。「ここは特別な場所、秘密の場所だよ。
ある能力を持った子だけがこれる場所。
否 自信を開花したものだけがこれる場所。
月穂は、自分の能力にまだ気が付いていないんだねぇ。
あなたは奇跡の子として、この世に存在している。
恐れるな。突き進みなさい。」

釈然としなかった。。
でも確かに、医師は私を「奇跡の子」と呼ぶ
あの生まれたときの腫瘍が無くなってからだ。

続きはまた明日・・
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