秘密の場所Ⅱ

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コラム
別の場所とは、私の記憶にない場所。
それでも、凄く懐かしく安心できる場所。
舗装されていない砂利道には水たまりや草が生えている。
左側は土壁の大きな塀が永遠と続いている
右側は平屋の同じ家がずらっと並んでいる
人影は見えない、でもヒソヒソと声がする。
私は石ころを拾いながら、声のする家の前に行く
すると話し声は止まるのだ・・・
「だれかいますか?」そう叫んでも返事はない
引き寄せられるように一軒の家にたどり着いた。
玄関が少し開いている。
「あのぉ・・すみません。だれかいますか?」
シーンと静まり返った部屋の奥で布の擦れる音がする
恐る恐る玄関を開けてみる。
そこには、着物を着たお年寄りが座っていた
どうしたものかと悩んでいると
「やはり来たんだね」静かな声で話すおばあさん
「私のこと知ってるの?」そう聞くとにっこり笑って
「覚えていないのかい?まあいい、これからの事
ゆっくり話すから、記憶に残しておくんだよ。」
私は急いで頭の中のタンスを開けた。
「一気に話すことは出来ないから、時間のある時いつでもおいで」
「これから起こる事、少し辛いかもしれぬが決して負けてはいけないよ。」
私には、何のことだかさっぱりわからず「負けなければいいんだね。」
そう言ってその日は現実へと戻った。
目を開けると、母が「そんなところで寝てたら風邪ひくわよ」そう言った
その夜から喘息の発作が起こり、横になって寝ることが出来なくなった。
横になると、息が止まるからだ・・・
父と母が交代で抱っこして寝かせてくれたり
少し大きくなった時には、枕やお布団を高く積み上げ
そこに覆いかぶさるように座って寝た。
毎日の投薬、喘息に効くと言われている針やお灸
お寺の薬草を調合した漢方的なお薬
何を試しても、ひどくなるばかり
外遊びが大好きな私は、家にいることが苦痛になり
かといって、息をすることもままならないぐらいの発作
気を紛らわすため、家にあった本を読み漁った
この頃から年間100冊は読むようになっていた。

続きはまた明日・・
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