「奇跡の子」そう呼ばれても私には関係なかった。
自分がそうとは思っていないからだ。
4歳になったころは、ひらがなが読めるようになり
ますます、父の書籍に没頭した。
漢字は飛び越しても、なんとなく内容がわかるようになってきたが
「若きウェルテルの悩み」だけは理解できなかった。
保育園も小学校も殆ど行けない私に
父は沢山の音楽を聞かせてくれた。
母は、絵本の読み聞かせをしてくれる。
両親の自営は多忙を極め、事務員さんが日中は面倒を見てくれた。
私はお昼寝と言い、あの場所に行くのは毎日の日課になっていった。
気を付けなければいけない年 12歳・16歳・20歳
何が起こっても、慌てず自分の力を信じなさいと・・
何を聞いても微笑むばかりのおばあさん
一方的に「自分の力を信じなさい。」とばかり言う。
私の内に秘めたるパワーは、己の意思によって最大限引き出せるとも・・
おばあさんとのお別れの時が来た。
父の自営が順調で、国道沿いに3軒長屋の2軒分の土地を買ったという。
父は昔の大工仲間を集め、自分で家を建てた。
家の設計図を広げ「ここがお風呂になるんだよ。ここは階段。」
私は出来上がる家を想像しながら、
階段の下から2番目にはおばあさんも来るのかな?とふと思った。
あの場所に行き、引っ越しが決まったことを告げると
おばあさんはわかっていたような顔をして頷いた。
「いよいよ、お別れだね。」「え?なんで?一緒に行かないの?」
「この道は、どこにでもあるわけじゃないんだよ。前に住んでいた家の時
月穂はキャベツ畑で私を呼んだ。しかし、私からは動けない。
そして、あなた達家族はこの家を選び引っ越してきた。
いいえ、私が引き寄せた・・と言った方がいいのかねぇ。
月穂が私を必要とし、秘めたるパワーを知りたがっていたから
ここに呼び寄せたんだよ。」
「じゃあ、ここに来ればまた会える?」
「もう、全てあなたに伝えたよ。死を怖がることもない。
寄ってくる魔を怖がる必要も無い。月穂には、それを乗り越える力があることを忘れなければ、どうってない事。試しに階段の一番上から飛び降りてごらん。それが、あなたの持っている力だよ。」
そう言われ、私はあの場所から出てきた。
「階段の一番上から飛び降りる???怪我・・するよね・・・
おばあさん何を言ってるんだろう・・・」そう思いつつも私は階段を上った。
上から見下ろす階段下は、果てしなく地獄に落ちそうな高さだった。
「ここから?飛び降りる?」
しばらく悩んだ。座り込んで考える。目を閉じて心静かに無になる。
体中が熱くなり「私に出来ない事はない。」心がそう叫んでる。
その瞬間、私は階段下に向かって思いっきり飛んだ。
頭に思い浮かぶのは、転げ落ち痛みで苦しむ自分。
でもそうはならなかった、ふわっと何かに包まれふわふわと降りていく。
着地したとき兄が叫んだ。
「月穂!!怪我はないか?痛い所は?でも・・俺の目の錯覚かな・・
お前、階段に沿って空中をふわふわ降りてきたような・・・」
初めて自覚した自分の力。これがそのパワー?
私は小学校1年生になっていた。
続きはまた明日・・・