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私は元ワンゲラーだ。特に山が好きだった。
そこは狭い一本道で両側には背の高い草が生えていた。
私が一人歩いていると 向こうから大きなスズメバチが
やって来た。 どちらかが避けなければならない。
どちらが避けるべきだろうか?
考えるまでもない。
人間は万物の霊長なのだ。スズメバチは首を垂れて 私に
道を譲るべきだろう。しかしそんな気持ちは当のスズメバチには
全くないようだ。どんどんこちらへやってくる。
闘うしか道はない。
素早く戦略を立てる。 例え蜂がその毒針で私を刺したとしても
即死には至らない。その痛みに耐える覚悟があれば
勝機はある。
おそらく蜂は刺す時に足場を求めるだろう。
そこをこの手袋をした手で打つ!
私には毒も針もないが圧倒的な体格差がある。
蜂をパンと叩いて 飛行能力を麻痺させ 地面に落ちたところを
このキャラバンシューズで踏みつける。
私は勝つ!勝利は我が手に!
しかし私の殺気に気づいたのか それとも己の劣勢を
悟ったのか、蜂はフィと高度をあげて 高い草むらの上を
飛び去っていった。
やった!戦わずして勝つ!それこそ兵法の極意ではないか。

しかし、もしさっきのスズメバチが仲間を引き連れて
大群で襲ってきたら?
多勢に無勢、勝てる気がしない。いや どうしたって無理だろ、それ。
私は大急ぎで 走ってそこを離れた。
何度か振り返った。
追っ手がかからなくてよかった。
巣が近くにあったわけではなかったのだな。
スズメバチは木の橋の裏側などに巣を作ったりするので注意が必要だ。
嫌な予感がしたら 少し観察してそれから近づくべきだ。
万物の霊長なんて せいぜいその程度なんだな。
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