落語家のパワハラ裁判、元師匠に80万円の支払い命令下される

記事
コラム

落語家のパワハラ裁判、元師匠に80万円の支払い命令

先日、落語家の元三遊亭天歌さんが、10年以上にわたり暴力や暴言などのパワハラを受けたとして、元師匠の三遊亭圓歌さんに対し、損害賠償を求める裁判で、東京地裁が元師匠に80万円の支払いを命じる判決を下しました。
この判決に対して、SNS上では様々なコメントが寄せられました。中には、元弟子の訴えを支持するものや、落語界の伝統や師弟関係を理解するものもありましたが、残念ながら、一方的に元師匠を擁護するものや、元弟子を非難するものも少なくありませんでした。

例えば、「落語家なんてパワハラされて当たり前だろ。弱い者が泣きついて金をせびるなんて恥ずかしい」「師匠が叱るのは愛情表現だ。弟子は感謝すべきだ。裁判なんて無駄なことをするから落語が衰退するんだ」「80万円もらっても何の意味があるんだ。元弟子は落語家としての実力がないから、金で解決しようとするんだろう」などというコメントが見られました。
これらのコメントは、パワハラの被害者に対して、加害者の立場や権威を盾にして、責任を転嫁したり、正当化したり、軽視したりするものです。これは、パワハラの本質を見誤っているだけでなく、被害者の人権や尊厳を侵害するものです。

パワハラとは、職場や学校などの組織の中で、上司や先輩などの上位者が、部下や後輩などの下位者に対して、暴力や暴言、無視や孤立などの不適切な行為を繰り返し行うことで、精神的苦痛や健康障害を与えることです。パワハラは、人間関係の問題ではなく、人権の問題です。パワハラは、法律や社会規範に反するものであり、許されるべきではありません。
落語界においても、パワハラは存在します。落語界は、師匠と弟子の関係が厳格に決められた、古い伝統や文化を持つ世界です。しかし、それは、師匠が弟子に対して、暴力や暴言などのパワハラを行うことを正当化する理由にはなりません。落語家であっても、人間である以上、人権や尊厳を守られるべきです。

元三遊亭天歌さんは、パワハラの被害に耐えかねて、2019年に元師匠との師弟関係を解消しました。しかし、その後も元師匠からのパワハラは続きました。元三遊亭天歌さんは、自分の人権や尊厳を守るために、裁判に訴えることを決断しました。これは、勇気ある行動だと思います。
裁判の判決は、元三遊亭天歌さんの訴えを一部認め、元師匠に80万円の支払いを命じました。しかし、これは、元三遊亭天歌さんが求めた300万円に比べて、かなり少ない金額です。また、元師匠は、判決に納得していない様子でした。このことから、この裁判は、まだ終わりではないと思われます。

私は、元三遊亭天歌さんが、パワハラの被害から解放され、落語家としての活動を再開できることを願っています。また、この裁判が、落語界や社会全体に、パワハラの問題について、真剣に向き合うきっかけになることを期待しています。パワハラと指導の違いの難しさはあるとは思います。指導はとらえ方によってはすべてパワハラになる可能性があります。その反面SNS上では悪質なコメントが未だ無くならないし取り締まりも甘いのでは。なんとも難しい世の中になりましたね。

ー 静也 ー


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す