「吐けない過食症」と私が思う「リバウンド」について

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コラム

過食症はごく一般的には、
大量に食べてそれを嘔吐する行為と言われています。

なぜそんな行為をするのかと本当に簡単に説明するのであれば、「太りたくない」ためです。
大量に食べてしまったという罪悪感はあれど、嘔吐すれば太ることを妨げることができます。

しかし、
この大量に食べることを妨げることができない過食症の人がいます。
「吐けない過食症」の人です。

食べっぱなしです。
しっかりと消化吸収されますので、当然体重は増えてしまいます。

吐けない過食症の人は恐らく下剤を大量に飲んで、上から吐けない分下から出すことで、食べたことを食べなかったことにしようと試みると思いますが、

下剤の効果は大腸の蠕動運動を活発にするか、便の水分量を増やして柔らかくして排泄をスムーズにするだけなので、
栄養の消化吸収を担う小腸には影響はないために、エネルギーや脂質はしっかりと体内に吸収されてしまうと考えた方が良いでしょう。

(嘔吐する過食症の人も下剤を乱用する方は多いです。自分もそうでした。)

そんな吐けない過食症の人は、吐くことができる過食症に比べ、体重は増えてしまうことが多いので、自分に対しての嫌悪感は嘔吐できる人の比ではないと思います。

私も嘔吐できなかった時があったので、嘔吐するコツを何となく掴むまで、
食べた後は本当にこの世の終わりというくらいの暗闇に突き落とされたような絶望感と、
自分の喉に手を突っ込んで胃に入ったドロドロの食べ物を掻き出してやりたい気持ちになりました。
「もー!ヤダー!吐けない!!」と喚き散らしたこともありました。


私が看護学校に通っていた今から20年以上前の話なのですが(中退してます)、
若い頃に摂食障害だったという外部講師の社会福祉の先生に、悩みを聞いてもらったり、摂食障害という病気について教えてくれたり、随分お世話になったことがありました。

とっても細くて色が白くて可愛くて、クラスメイトの誰もが可愛いと言うような先生だったのですが、
その先生が学生だった当時、タレントになろうと芸能事務所に所属していたそうで、
事務所から痩せろ痩せろと言われて徹底したダイエットをした結果、過食症になったと言っていました。

先生は吐けない過食症だったそうです。
過酷なダイエット生活に耐えられなくなり芸能事務所は退所したそうですが、過食症はそのまま抱えることになり、
大量に食べてみるみるうちに元の体重よりも太ってしまったと言っていました。

先生は太った身体を何とかしようと毎日プールに通い、何十キロも泳いで体重を元に戻し、社会福祉の道を選び、いつしか過食もしなくなったと言っていました。

先生は当時私に
「リバウンドは必ずくるから、それがないと摂食障害は治らないわよ」
と言いました。

リバウンドって、ダイエットで言うところの、「短期間に急激に痩せた後に身体が元に戻ろうとする生態防衛反応」はもちろんのこと、

精神的に何かを抑制をしていると、いつかその抑制の蓋が外れて、抑えていた気持ちが外に飛び出すような、そんな「メンタル的なリバウンド」もあると思っています。

私は結婚していた頃に、離婚したい離婚したいとずっと思っていたけど、勇気がなくて我慢していましたが、
ある出来事をキッカケにもうこれはやるしかない!と、抑制していた気持ちをリバウンドで跳ね返らせて蓋をぶち開けて、自分の人生と子ども達と元旦那さんのためにも、離婚に向けて行動することにしました。

そんなことを思うと、
確かに、「抑えていたものはリバウンドさせないと次に進めない」と考えたりするのです。

抑制の蓋が外れる時、リバウンドする時は、「臨界点、ピークに達した後の転換期」という感じで、
リバウンドは個人にとって良いにしろ悪いにしろ、何かを動かすための「起爆剤」のような効果があるような気がします。

吐けない過食症の人も、吐ける過食症の人も、過食する時は何らかの抑制の蓋が外れるピークに達した時です。

人間関係で我慢していたピーク
将来への不安のピーク
仕事して疲れを感じたピーク

1週間間隔のこともあれば、1日のうちにやってくるピークもあります。

ピークが来れば過食して、過食したことに罪悪感を抱えることになりますが、
臨界点やピークに達すれば「転換期」になりますから、そこから「流れを変える」ことができます。

ちょっと理解されにくいかもしれませんが、
私は過食して嘔吐するたびに、自分のそれまでの汚い自分をリセットできるような感覚を抱いていました。嘔吐は浄化作用でした。
そして過食嘔吐した後は、浄化された清らかな自分になれたような気がして、翌日頑張ることができました。

嘔吐できない人でも、恐らく多くの人が下剤は使っているんじゃないかと思えるので、下から出すことでそれなりに浄化された気持ちになり、翌日にはそれまでがリセットされて、振り出しに戻ったような感覚になるんじゃないかなと思っています。

良いのか悪いのかは置いておいて、過食はそこからまた生きていくための「起爆剤の役割」になるなんですよね。

そんな理解されにくいおかしな起爆剤がなければ、摂食障害の方には生きていくことが難しいんです。

短期間でダイエットしてリバウンドするのも、身体が命の危険を感じて元に戻そうとする転換期であり起爆剤。
「変化させようという力が働く時」です。

吐けない過食症の人は、食べた後にきっとどん底まで落ちていくような気持ちになると思いますが、

恐らく私が思うに、
過食したものを不本意ながらも嘔吐せずに消化吸収できているため、
嘔吐する過食症の人よりも、「過食症の克服は早いんじゃないか」と思っています。

自分で食べると決断して食べたものを、下剤は使っていたとしても、「自己責任のもとに消化吸収できている」ためです。
嘔吐する人は、これができません。

私は嘔吐が下手だったので苦しかったため、連日過食嘔吐するようなことがないように、毎日相当に気を張っていました。
ペロッと吐けてしまう人は、「簡単に吐けるから毎日やっちゃうし辞められないの」と言っていましたね。

吐けない過食症の人はとっても辛いだろうけど、いつか必ず治ると自信を持って欲しいと思っています。

ちなみに、
何度も書いていますが、私は左上腹部の良性腫瘍の発見という、長い年月積み重ねた過食嘔吐による大きなリバウンドをくらい、
強制的にこれまでの過食嘔吐人生から転換せざるを得なくなりました。

ここで方向転換できずにそのまま過食嘔吐を続けていたら、今度は救いようのない病気になってしまっただろうと思っています。

リバウンドって、身体にとってもメンタル的にも、本来は「必要だから」やってくるんだと思います。

本人にとっては不本意でも、「必要な変化」なので、それを受け入れなければ「次へ進めない」ということです。

人間関係で我慢していたことでやってくるピーク
将来への不安からやってくるピーク
仕事して疲れがたまったことでやってくるピーク

これら小刻みにやってくるピークにも、
何らかの必要な促しであって、
「抑制している、無理してる生き方を動かすため、是正するための起爆剤の役割」だという気がしています。

社会福祉の先生が「リバウンドは必ずくるから、それがないと摂食障害は治らないわよ」そう言っていた意味を深読みしてしまいましたが、そんなような気がしています。


今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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