吐くことが腐れ縁となる苦しみ

記事
コラム
私は拒食症になり、過食症になり、
食べて吐くことを14年近く繰り返していました。

摂食障害でした。


拒食症だった時期は短期間、短期決戦なので、
周りの人もハッキリ気がつくほどに、一気に痩せていきます。

「痩せたね」「細くていいな」「羨ましい」

時に、そんな言葉を掛けられて
どんどん痩せて、どんどん羨ましがられる存在になっていく自分の姿が誇らしく、
コンプレックスであった足もミニスカ履いて堂々と出せる、オシャレも楽しめる

自分が病気だなんて思いません。
本人の意識は、痩せたいだけの単なるダイエットです。

ダイエットをして綺麗になれた
私は今までの自分と違う
もう太っていた頃の、みんなから見下されていた私ではない
周りの目も人も怖くない

強くなって生まれ変わったような気持ちでいました。

けど実際はというと、
強くなって生まれ変わったような「気持ちでいた」だけなので、

小学生の男の子が、好きな子をいじめるとか、
可愛いとも思わないけど、流行りの服を着て「いいな」と言われることに満足するような感覚に近い
ガラスのようなプライドをまとった状態なので、
本当は強くなんてなっていません。

そのことに気が付くのは、ずっとずっと後になってからです。

食べるだけ食べて吐く行為を覚えた時から苦しみが始まります。


食べ過ぎた→そういえば吐くと太らないってTwitterでみた→そうだ!吐けばいいんだ!

というように

私の場合はダイエット特集か何かの本だったような気がしますが
どこかで読んだどこかで聞いた
太らないミラクルな技に、藁をも掴む思いですがります。


だって、太ってしまうんだもの。
太ったら、また臆病で弱くてバカにされる自分に戻ってしまうのだから。


吐いてみたことで、少し安心します。

そして、
この少しの安心感が欲しいが故に
吐く行為は切ろうと思っても切れない関係

まさに「腐れ縁」となるのです。


恐らく
「食べても吐けば痩せられるよ」とケロッと発言して
食べて吐くことに不安も疑問も罪悪感も抱かない人でも、

これが何ヶ月、何年と続くと、
「普通に食べる」ことを望むようになるんじゃないかと思っています。


好きな人の子どもが欲しくなったり
母親になったり
将来のこと、幸せな未来を本気で考え出した時に
「普通に食べること」を本気で欲しくなるのだと思います。


人間は食べ物を口に入れたら、ごくんと飲み込んで胃に送り、食べ物を消化吸収させることが自然で普通で生理的なことです。


一度胃に入れたものを戻す

という行為は自然ではない普通ではない生理的ではないことなので、
身体にも心にも必ず無理が生じてきます。
長くは続きません。


「普通に食べたい」
「普通の量のごはんを食べて、普通に食後のスイーツを食べて、そのままお昼寝でもしたい」

そう思っても、
腐れ縁となった吐く行為は、なかなか切ることができないのです。


普通に食べたい
吐くことをやめたい

そんな自分の思いとは裏腹に、

食べ物を口に入れたら、ごくんと飲み込んで胃に送り、そのまま消化吸収する


それが恐怖でしかなく

食べては吐く行為はやめられないのです。

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