前回は、60歳を過ぎたら投資にリスクを取らないでいいのか? というお話でした。
ブラックさんも、
「どの時期にも等しいリスクがあるとすれば、年齢に関係なく常にリスク・エクスポージャーを一定にしておくべきである」
と言っている通り、虎の子の1000万円を全部仮想通貨にぶち込む、なんてことはお勧めできません。
自分が取れるリスクを決めておく
あくまで一定額、例えば年初の資産額の5%とか10%を上限にリスク商品を購入するなど、自分の中で「決め」を持っておくことが大事です。
もちろん、資産がすでに十分あって、運用の必要もないという人はそのままで大丈夫です。
わずかでも資産が減るのは耐えられない! という人も、無理にリスクを取りに行く必要はありません。いわゆるリスク許容度の問題ですね。
「リスクを取らないリスク」を感じた人は、自分が許せる一定の上限を設けて、資産の一部をリスク商品に振り向けましょう。
損をしても取り返しに行かない
個別株でもFXでも、仮想通貨でもOKです。高金利や高配当が得られるように装っているインチキ投資は、当然ですがダメです。
この時に肝心なのは、負けた時にズルズルと追加投資をしないということ。損をしても、「趣味にお金を使った」くらいに考えて、無理やり取り返しに行こうとしない方が無難です。
そうやって身を滅ぼした人がどれだけいたでしょうか。
年齢が高くなると、投資に有効な時間分散が図れないという弱点はあります。
しかし、焦りは禁物。かのバートン・マルキールも、株式市場で金儲けをすることはそれほど難しくない、と述べた後、こう釘を刺しています。
むしろ難しいのは、短期間に手っ取り早くお金を儲けられそうな投機に、お金をつぎ込みたくなる誘惑を振り払うことのほうである。
この教訓は全く自明なことなのだが、忘れ去ることもまたたやすい。(※)
言うまでもなく、投資は自己責任です。バートン・マルキールの指摘を忘れずに、取れるリスクの範囲内での運用をお勧めします。
(※)「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マルキール著、井手正介訳、日本経済新聞出版社)