中小企業経営のための情報発信ブログ277:組織風土劣化の対処法

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これまでも、組織風土組織文化についてついては書いていますが、組織が変わるためには風土や文化を変えていなければなりません。
組織文化というのは、組織の構成員間で共有された考え方、物の見方、感じ方に基づく組織全体の行動原理や思考様式のことです。組織風土は組織文化と同じ意味に使われることもありますが、厳密に言えば違います。組織風土意図的ではなく自然と醸成された物、いつの間にか定着してしまった組織の習慣のことで、意図的にデザインし計画的に介入していく組織文化とは異なります。
いずれにせよ、組織文化や組織風土を変えるというのは並大抵のことではありません。悪い組織文化や組織風土は、まっさらな人をも飲み込んですぐに拡大していきます。変えようとして声を上げるだけでは変革できません。地道な行動を繰り返しながら、着実に進めていくしかないのです。企業風土や企業文化が醸成されるのには長い年月がかかります。それらを変革するにも同じだけの時間と労力がかかるものです。付け焼き刃的にすぐにできるというものではないのです。
更に、組織文化や組織風土の変革を困難ならしめている理由があります。
1.「風土劣化」の大きな原因は「重い組織」
 組織が成長していくためには、健全で良質な「土壌」が必要です。そして、健全で良質な「土壌」を作るためには、「組織風土(整地化)」と「組織文化(肥沃化)」の2つが欠かせません。食物が育つために良質な土壌が必要であるのと似ています。
 「組織風土(整地化)」は、土をならし、良好な通気と通水を図り、雑草や石ころを排除し、食物の生育に適するように整えるという重要な役割を担っています。この役割が上手く機能できず、どんどん劣化していく「重い組織」が多数存在します。この「重い組織」は、組織全体が重苦しい空気に覆われ、社員はその重圧に押しつぶされてしまいます。
 この「重い組織」には、ありがちな5つの症状があります。
⑴ 無意味、無価値な業務に忙殺されている。しかも、それを問題と思っていない。
 「思い組織」の原因の1つが、無価値・無意味な業務の増大です。組織にはさまざまな業務が存在し、組織が大きくなるにつれその業務の量も増えてきます。何度か書いていますが「クソどうでもいい仕事(ブルジット・ジョブ)」が増えていくのです。
 どんなに忙しくても、それが「価値のある仕事」「意味のある仕事」であれば、現場の負担はそれほど大きくはなりません氏、その仕事に従事する人もモチベーションを失うことはありません。問題は「忙しさ」ではなく、その「中身」にあるのです。
 例えば、無意味な会議やミーティングが多い」ということがあります。会議のための会議が開かれており、そこで建設的な議論がなされることは少ないのです。以前にも書きましたが、報告や連絡だけの会議が多いのです。本来会議というのは課題に対してさまざまな議論がなされ、最適解が出るものでなければなりません。そうした戦略的な課題に対する会議だけを開けばいいのです。報告や連絡はメールやチャットで十分です。全員が一堂に会して(オンラインでも同じ)行なう必要はありません。
 会議やミーティングの数が増えれば増えるだけ、そのための資料作成に忙殺され、本来の意味や価値のある業務ができなくなってします。
 変革の第一歩は、業務や会議に思い切ったメスを入れ、身軽になることです。そのためにすべての業務を点検し、「やめる」「なくす」「削る」を徹底させ業務の代謝を上げなければなりません。
⑵ 権力を握る上司による、部下に対する「高圧的・威圧的な態度と言動」
 上司が全員の面前で、部下に暴言を吐いたり、つるし上げたりする組織では、だれもがものを言えなくなります。そのような組織には心理的安定性は全くありません。
 組織が劣化している思い組織は、「上下関係」に非常にこだわり、より上位のランクにいる人間が、下の人を人とも思わない態度や言動を繰り返します。そうすると、部下たちは、上司の怒鳴られないように「忖度」や「過剰防衛」するようになります。部下は上司に逆らわず、自分の意見や考えを口に出すことなく、唯々諾々と上司に言われることしかしなくなります。これでは組織の劣化が進むだけです。
⑶ 封建的な「村」意識が強く、個へのリスペクトがない。組織の論理、強者の論理を押しつける
 企業・組織というのは、共通の目的の下、多様な人々が集まり、ときに協働し、ときには摩擦を生じさせ、大きな価値を生み出していく物です。連帯意識や仲間意識が産まれれば、そこから共同体意識が芽生えてきます。日本の企業や組織の多くは、古い共同体意識や古い価値観が残っています。集団主義的・全体主義的な感覚が色濃く残り、同質性・画一性が尊ばれています。昨今、「多様性」が叫ばれていますが、多様性を意識する組織でも多くは形式的に多様性を採用するだけで、本質は変わっていないように思います。
 組織風土の変革は、時代と大きくずれてしまった「古い共同体」をぶち壊し、「新たな感覚の共同体」を想像することに他なりません。
⑷ 何かを変えたり、新しいことにチャレンジするのを嫌がる。失敗を恐れ、リスクをとろうとしない。
 風土が劣化する原因の1つは、たとえどんな小さなことでも、何かを変えたり、新しいことに取り組むことを嫌がることにあります。何かを変えることによって、これまでの「安定」が崩れ、ミスやトラブルが発生するリスクが高まることを恐れるのです。
 今は、激動の時代で何が正解かわかりませんし、過去の栄光にしがみついているだけでは成長するどころか生き残ることも難しい時代です。失敗しても新たにチャレンジすることで活路が開かれるのです。何度の言っていますが、失敗は成功の目で、失敗から学んで人は成長できるのです。失敗を恐れてリスクをとらなければ、成長も進歩もありません。
 何かを変えると言うことは、どんな小さなことでも、面倒くさく、時間と労力を伴います。しかし、小さな改善でも、全員参加で積み重ねることで、とてつもなく大きな製菓に繋がることもありますし、小さなアイデアがきっかけとなってイノベーションが生まれることもあります。
⑸ 経営者が「ビジョン」ではなく「計画」ばかり語る
 これまでもビジョンや理念、ぶっとんだ目標が大切である事は指摘しました。多くの企業で中期経営計画が作成されています。ここでは、一見もっともらしく見えますが、無味乾燥の面白みのない数字の羅列で、人々を引きつけるようなものではありません。ビジョンや理念、びっ飛んだ目標が大切なのは、それらが、聞く者をワクワクさせ、ともに実現したいと鼓舞するからです。
 風土が劣化する思い組織の経営者は、周囲から「ホラ」と思われてもいいので、壮大なビジョンやぶっとんだ目標を思いを込めて語るべきです。
3.原点の立ち返る
 実行力のある組織にするには、何をなすべきでしょうか。答えはシンプルで「組織の風土を変える」ことです。答えはシンプルですが、「組織の風土を変える」ことはシンプルではなく難しいものです。
 しかし、現在のような混迷の時代に生き残っていける組織になるためには、他社には真似のできないような風土に変えていかなければなりません。強い企業の代名詞であるトヨタやホンダは、確固たる風土を築き上げているので、トラブルに巻き込まれてもすぐに立ち直る底力を持っています。
 組織の風土を変えるには時間がかかります。声を上げるだけでは組織風土や組織文化を変えることとはできません。必要なのは行動です。社員・部下とのコミュニケーションの機会を重視し、自らの言葉で語りかけ、自ら行動を起こすことです。それは小さなことからでかまいません。以前にも書きましたが、「挨拶する」「ゴミを拾う」という当たり前のことを率先して行なえばいいだけです。経営者や上司が、「基本のき」を守り、当たり前のことを当たり前にやっていけば、それが社員・部下に浸透し、組織全体が変わっていきます。
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