中小企業経営のための情報発信ブログ160:新入社員の教育

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4月に入り、街で新社会人の姿を目にすることが増えました。新入社員が入社し、新入社員の教育で頭を悩ませている人も多いと思います。
1.「職場全体で育てよう」が新入社員をつぶす
 現場だけでなく職場全体で新入社員教育に取り組んでいる企業も増えています。しかし、このような取り組みによって、新入社員は成長するどころか、迷いが生じてつぶれてしまう可能性があります。
 配属先の上司だけでなく、別の部署の先輩・上司が指導・評価することで、指導者によって指導・評価する内容にも違いが生じ、新入社員は「どちらの指導を聞けばよいのか」という迷いが生じ、混乱してしまうというのです。
 例えば、直属の上司が「60点でもいいから早めに提出せよ」と指導し、一方で他の部署の先輩が「時間をかけて完璧に仕上げてから提出せよ」と指導したとします。こうなると、新入社員はどちらの言うことを信頼すればいいのか戸惑います。
 また、新入社員から「上司から『60点でもいいから早く出せ』と言われているが、自分は完璧に仕上げてから出したい。どうしたらいいか」という相談を受けたとします。こういう相談を受けた場合、ついつい相談者に追随して「君は間違っていないよ」と回答してしまうこともあります。そうすると新入社員は「うちの上司は間違っているんだ」という思い込みから「上司の指示に従って結果を出す」ということができなくなります。
 また、直属の上司しか普段の仕事ぶりを見ることが難しい中で、他の部署の上司や先輩が指導するとなると、その評価は概して感覚的な評価になってしまいます。仕事の成果ではなく、頑張りや仕事のやり方を労い評価することになります。そうなると、新入社員は「結果ではなく、残業など頑張りを評価されるのだ」と勘違いし、結果よりも残業して頑張っていることをアピールするようになります。しかし、直属の上司からの評価は仕事の結果であることが多く、結局「何をすれば評価されるのか」戸惑うことになり、不満につながります。
2.やるべきことは部下が迷わないようにすること
 職場全体で新入社員を育てようとすると部下に多くの迷いやストレスがかかり最終的には離職者まで出てしまいます。新入社員育成のためにやるべきことはただ一つです。「部下が迷わないようにすること」です。
 つまり、そのためには、「部下の指導、育成は直属の上司に任せる」ことです。直属の上司以外は相談を受けても「直属の上司に確認しなさい」と言うことです。そうすることで、新入社員は直属の上司との位置関係を理解し、上司の指示に従って結果を出すことが仕事であると理解できるようになります。
 さらに、部下が迷わないようにするためには、新入社員に明確な目標設定をさせることです。評価は感情的になされるものではなく結果であることを理解させるのです。目標を設定し、それを達成できたかどうかが評価の対象です。求める結果を明確にし、その結果を正しく評価することでしか、部下の成長は望めません。部下は迷うことさえなければ、いずれは成長します。その責任を負うのは職場全体ではなく直属の上司にすべきです。まさに「船頭多くして船山に上る」ではいけないということです。
3.テレワーク下での新人教育
更に新入社員の教育を難しくしているのがコロナ禍のテレワークです。コロナ前であれば、上司や先輩が手取り足取り指導することができましたが、コロナ禍ではそれもできません。目の前にいない新入社員を相手に、どのように教育し、管理し、評価していくかということが大きな課題となっています。
 これまでの新人教育は、上司が部下に対して、日常業務を通して、計画的に知識・技能・問題解決能力・態度などを指導するOJTが主流でしたが、コロナ禍のテレワークではOJTを効果的に行うことが難しくなっています。それを補うためにOff-JTを効果的に活用することです。
Off-JTというのは、Off the Job Trainingの略で、職場外教育訓練のことです。OJTは、On the Job Trainingの略で職場内教育訓練のことです。
 コロナ禍のテレワークで、OJTが機能しにくくなっている部分はオンラインでのOff-JTを効果的に活用することです。
 従来のOff-JTは単なる知識のインプットと考えられていましたが、Off-JTでインプットされた知識を後で行われるOJTにつなげていくことで、インプットされた知識が生かされるのです。Off-JTとOJTを1つのサイクルと考えて、これを上手く回していくことが重要です。そうした新入社員教育の仕組みを作ることです。


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