白秋

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コラム
今は10月の下旬という事で、秋の真只中である。
庭のモミジなどもようやく色づき、ちょっと強めの風が吹くと落ち葉が舞い散るように成っている。
この時季の事を「白秋」という言い方がある様である。

陰陽五行という中国由来の季節を現す言葉であるらしい。
「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」という四季を現す、言い方の一つで秋は「白い色の季節」なのだという。
もっとも私が「白秋」という言葉の存在を知ったのは、詩人であり歌人でもある「北原白秋」に依ってであった。
彼の作った幾つかの童謡が印象に残っていたからであろう。

初めは彼の固有名詞と想っていたのであったが、漢文や中国の故事を知るようになり、秋を現す言葉の一つであることを知った。
ところでこの「白秋」には季節を現す意味もあるのであるが、同時にまた「人生」を現す意味もある様である。

即ち「青春」が若さの象徴を示し、これからの成長を待つ青々とした2・30代の「青年期」を言い現わしている様に、
「朱夏」は 赤い夏が人生の盛りを象徴し、40代や50代の人生の盛り、即ち「盛年期」を言い現わしているのだという。
そうして「白秋」は冷気を伴う実りの秋、即ち人生の晩年である60代以降の「成熟期」から「衰退期」を現しているのだという。

モミジの清水寺.jpg


とはいえ近年は寿命も延びてきている事から、「白秋」が象徴する人生の晩年も、従来よりは数年後ろ方向にスライドしているのではないか、と私は想ってはいる。

その現実に伴い、白秋も前期と後期に区分したほうが良いのではないか、と考え始めているところである。
即ち「白秋前期」は人生の「成熟期」や「熟成期」を意味し、概ね60代~70代半ばまでの気力もまだ充実し、体力もそれなりに保たれている時期で「人生の収穫期」として、人生そのものを「自ら愉しむ」ことが実感できる時期、といったところか・・。

「白秋後期」は70代後半から80代の最晩年で、気力や体力の衰えを受け容れつつ静かに後進の育成に力を注ぎ、伯楽として駿馬を見出し、若い才能の育成をさりげなくサポートする。そしてそのことに人生の喜びを感じる時期なのであろうか・・。

10月下旬という秋の真っ盛りの紅黄葉に彩られた樹木を前に、一陣の風にハラハラと舞い落ちる枯葉を気にしながら、酸味の利いた珈琲を飲みつつ
これからの「白秋前期」と「白秋後期」をこのような心持で生き、過ごしたいものだと、つらつらと考えている私なのである。

この時何故か、「枯葉」を唄うイブモンタンが私の頭に浮かんだ・・。


イブモンタン4.jpg

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