今流行りの私人逮捕とその危険性

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どうもYou Tube界隈を中心に私人逮捕が流行っているようです。
まず「私人逮捕」ですが、それほど一般的な言葉ではありませんので、以下に簡単にご説明しましょう。
基本的に、一般市民を犯罪から守るのは警察ですが、警察官がいつでもどこでもいるとは限りません。
そのため、緊急を要する場合は一般人でも逮捕をすることが可能なのです。
これを「私人逮捕」といっているわけですが、当然ながら、条件があります。
大雑把にいうと下記の三つですね。
・犯人が現行犯人、準現行犯人であること
現行犯での逮捕は、警察でも逮捕状がいらないなど、緊急性が高いために、私人の逮捕も認められるのです。
現行犯、準現行犯に当てはまらない限り、私人逮捕を行うことができません。
なので、明らかな犯罪で犯人が特定している場合であっても、現行犯でない限り私人が犯人を逮捕することはできないのです。
また、軽度の犯罪の場合は、犯人の住所、氏名が明らかでなく、犯人が逃走する恐れがあることです。
・もう一つが、30万円以下の罰金、拘留、科料の罪に当たる場合(過失傷害罪、侮辱罪)で、犯人の住所、氏名が明らかでなく、犯人が逃走する恐れがあるときです。
軽い犯罪の場合は、たとえ現行犯であっても、知人や名前や住所が判明していれば、私人逮捕はできなくなります。
例えば、故意なく怪我を負わされた場合、それが現行犯であっても、犯人の名前がわかっていれば、私人逮捕はできません。
・そして、私人逮捕を行ったときは、直ちに地方検察庁・区検察庁の検察官、または司法警察職員に引き渡さなければならなりません。
以上が私人逮捕なのですが、最近、一部のYou Tuberが他人の行為を犯罪と決めつけ、私人逮捕として拘束する様子を撮影した動画をインターネット上で拡散し、話題になっています。
たとえば、「美人転売ヤーを私人逮捕!」とのメッセージとともにX(ツイッター)やユーチューブに投稿された動画には、複数の男性が女性を取り囲み、「犯罪行為ですよ。現行犯逮捕できますよ」「警察呼んでます。暴れないで」などと体を押さえつける様子が約2分間、収められていました。
また、別の動画では、タクシーに乗り込もうとする女性に対し、ジャニーズアイドルのコンサートチケットを転売したとして、男性が「犯罪者は降りろ」と服や腕をつかみ、車から無理やり引きずり出す様子が映されていました。
しかし、これらの動画を見ると、こうした私人逮捕を行った人たちは偶然その場に居合わせたわけではないんですね。
最初から何か不正なことが行われるだろうと予想して網をはっていた、ひょっとしたら逮捕すべき人物も特定していたかも知れません。
これでは本来の私人逮捕から外れているし、完全に警察とやっていることは同じになっています。
いってみれば自警団的な活動といえるでしょう。
いすれにしても、本人たちは正義を気取っていますし、彼らを支持する声もあります。
しかし、上記の動画を見て、やりすぎと考える人も少なくないようです。
そして、こういう活動は必ず過激化します。
すると、逮捕されそうになった人間が反撃し、乱闘なる可能性もあります。
逮捕する側は正義を行使しているつもりで暴力も容認されると思っているでしょうが、もちろんそんなことはありませんし、さらにその私人逮捕が間違いだった場合にどうするのかということです。
傷害罪や拉致・監禁罪に問われる可能性がありますからね。
長くなるので続きは明日に。
では

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