昨日ツィッターで書いたことを再度とりあげます。
FIFA女子ワールドカップ・オーストラリア・ニュージーランド大会でスペインが悲願の初優勝を成し遂げたのですが、その表彰式においてスペインサッカー連盟のルイス・ルバリアス会長が、チームの一員であるジェニファー・エルモソ選手に、彼女の同意を得ることなく、唇にキスをしたんですね。
この行為はカメラに捉えられ、SNS上で論争を引き起こしました。
これはコミュニケーションの一部や祝福を意味するようなものではないという指摘が相次いだのです。
当初、エルモソ選手は、キスを冗談として受け止めたようで、インスタグラムで生中継で「嫌だったよね」と述べています。
しかし、その後、「W杯を優勝した喜びからお互いに自然としたこと。会長と私は素晴らしい関係にあり、あれは愛情と感謝による自然なジェスチャーだった。彼のチーム全員への振る舞いは素晴らしかった」と訂正。
一方、ルビアレス会長も、最初は「バカや愚か者の言うことを聞く必要はない。ナンセンスな言いがかりはもうたくさんだ。前向きに考えられないバカどもとは、一緒にしないでくれ」と発言していました。
なかなか強気だったわけですが、スペインの政界からも批判の声が上げられました。
たとえば、同国出身のアーネスト・ウルタサン欧州議会議員は「明日辞任を申し出るべきだ。彼は世界にみっともない男性優位主義のイメージを示した」と断罪。
男女共生大臣のイレーネ・モンテーロ氏も「同意のないキスは“よくあること”と決めつけないようにしよう。女性が日常的に受けている性暴力の一つであり、これまで問題視されなかったもので、普通のこととしてはいけない」と苦言を呈しました。
さらに、スペインのディアス第2副首相は「彼が女性を攻撃したことに疑いの余地はない。彼の言い訳は通用しない」と辞任を要求。
これを見たルビアレス会長は形勢不利と感じたのか一転して、連盟のビデオ声明を通じて「私が間違っていたことは認めざるを得ない。不快な思いをさせるつもりはなかった」と謝罪しています。
ただし、今のところ騒動が鎮火した様子はありません。
元々、スペインでは女性アスリートへのセクハラ行為はわりと頻繁に行われてきたようです。
そうした状況に女性アスリートたち、そして世間が厳しい目を向けるようになっているのですが、ルビアレス会長はこの変化に気がつかなかったのでしょうね。
勿論、こうした問題はスペインに限られるわけではなく、他の国においても見られるはずです。
そういえば、日本でもソチ・オリンピックの時に同様の「事件」が起きています。
ただし、これは男性から女性へのセクハラではなく、反対方向ですが。
当時、日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部長であった橋本聖子参院議員が、ソチ・オリンピックの閉会式後に選手村で開かれた打ち上げパーティーで、フィギュアスケート男子の高橋大輔選手にキスを強要したとして糾弾されました。
当然ながら、橋本議員は同日「キスを強制した事実はない」とのコメントを発表しています。
しかし、上記のスペインの話にしても、橋本議員の話にしても、「被害者」が「加害者」を擁護する発言をしているのは、恐らく、何らかの圧力がかかったためでしょう。
それはいいとして、日本でもさすがに人前で唇にキスなんてことは、橋本さんを除けば、あまりしないと思いますが、女性アスリートへのセクハラ行為は後を断たないと聞いたことがあります。
たとえば、
- 見た目や体型に関する不適切なコメントやジョーク
- セクシャルなニックネームやあだ名の使用
- 身体的な接触や抱きつき
- セクシャルな関係を強要する脅迫や暴力
- セクシャルな画像やメッセージの送信や要求
等ですね。
今回のスペインの「事件」を他人事と考えず、一度徹底的に見直したらどうでしょう。
そうしないと、突然の大スキャンダルが勃発して、世の中が大騒ぎになるような気がします。
では