6月3日と4日の映画「プロミシング・ヤング・ウーマン」(Promising Young Women)を取り上げた記事を書いていてなんとなく思いついたのですが、最近の洋画のタイトルはカタカナのものが本当に増えましたね。
しかも、英語そのままではなく、面倒なのか冠詞等を外すケースが多い。
たとえば、古くて申し訳ありませんが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」(Pirates of the Caribbean)や「エネミー・オブ・アメリカ」(Enemy of the State)。
しかし、これでは、日本人が間違いを覚えることになりかねません。
英語にするのならそのままにしないと。
それはそうと、私はなんでもかんでも昔は良かった派ではありませんが、映画のタイトルに関しては、昔の方が工夫していたような気がします。
英語のタイトルと日本語のそれがまったく違う例は、それこそ山のようにあるんですが、その中で比較的名作と言われるものを少しだけ紹介します。
まず、有名なところでは、「007 危機一発」(原題:From Russia with Love)。
これは、本来は「危機一髪」のところを銃弾にかけて「一発」としたもので、映画評論家の故水野晴郎(当時は映画会社の営業部勤務)が考案したそうです。
ただし、後年、原題に近い「ロシアから愛をこめて」に改題されています(こちらも悪くはないですが)。
「明日に向かって撃て!」(原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid)なんてのもありました。
これもいいですね。
それから、「A Bout De Souffle」(仏語で「息切れ」)という、フランス映画があります。
かなり古いので知らない人も多い多いでしょう。
それはいいとして、英題は「Breathless」とほぼそのままなのに、日本語のタイトルは「勝手にしやがれ」になっています。
素晴らしいタイトルですね。
もちろん、ヒットした映画は内容が素晴らしいことは当たり前です。
しかし、タイトルが一役買っていることも結構あるんじゃないかな。
たとえば、「アナと雪の女王」の原題は「FROZEN」です。
もちろん、世界中で大ヒットしていますから、原題が悪いわけではないでしょう。
しかし、日本語タイトルを仮に「フローズン」にしたとすると、日本であそこまでヒットしなかったと思います。
もともと外国映画はタイトルがそっけないものが多い。
上に書いた「アナと雪の女王」もそうですし、やはりアニメの「カールじいさんの空飛ぶ家」なんて原題は「UP」(上る)ですからね。
日本人は特にタイトルにこだわってきたような気がします。
そこには言霊が働きます。
上手いタイトルだと売れ行きが違うと言うか。
もちろん、これは映画に限りません。
かなり前に取り上げた「フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ"暮らしの質"を高める秘訣~」もそうです。
原題は「Lessons from Madame Chic」(シック夫人からの教訓)ですからね。
このように日本語のタイトルには言霊が宿り、大きな働きをすることがあるのに、最近は制作会社(主にハリウッド)の圧力のために、最初に書いたように、カタカナ表記のものが増えているのは残念です。
では。