血液型占いとスキーマ

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昨日、一昨日の記事に何となく続いています。

先週、ある米国のTVドラマを見ていたら、面白い場面がありました。

要約すると孤島に飛行機が落ちて生き残った何十人かの乗客がさらに生き延びようとする話なのですが、ある時、けが人が出たので輸血が必要となり、全員に血液型を訊くんですね。

しかし、ほとんどの人が知らない。

皆さんは驚くかも知れませんが、外国ではこれが当たり前なんです。

私がパリに住んでいたときにフランス人たちに訊くと、大抵は自分の血液型なんて知りませんでした。

一体何のためにそんなこと知りたいんだと聞き返されたこともあります。

彼らにしたらみんなが知っている日本人のほうがよっぽどおかしく見えるんでしょう。

当然ながら、血液型占いなんてものもありません。

しかし、日本ではあい変わらず、血液型占いがさかんですね。

何かあれば、A型だからだとか、B型なのにおかしいとか言います。

最近ではA型系のB型だなんて、もうなんでもありです。

これでは外れる方がおかしい。

まあ、暇つぶしや話のつなぎになりますから、ネタとしては便利なんでしょうが。

私はまったく信じていませんし、ふられても乗りませんが、それほど目くじらを立てることもないのかも知れません。

ところでこの血液型占いにはスキーマが関係しているそうです。

スキーマを簡単に説明すると認知心理学の用語で「自分なりの自動的な判断」のことなんですが、たとえば「病院で白衣を着ているのは医師」といったものです。

一般に持っている先入観によるイメージのようなものと云ってもいいですし、それ自体は悪いものではありません。

これがないといちいち判断しなければいけないので、事態にスピーディに対処することができなくなりますからね。

ただ、こうしたスキーマがいったんできてしまうと、人間はそのスキーマに一致する情報にばかり注意を払うようになります。

スキーマに合わない情報は受け入れ難くなるんです。

これはバイアスがかかるとも言います。

バイアスとは、ある仮説や信念を持つと確証を持つと、多くの情報のなかから仮説や信念に合致するものだけを選択的に認知したり、判断材料として重視する傾向のことです。

場合によってはスキーマに一致するように記憶が歪められることさえあるそうです。

血液型の話に戻ると、たとえば「A型の人は真面目で几帳面」というスキーマができてしまうと、そうした性格ばかりが目に付き、合わない情報は受け入れなくなり、すぐに忘れてしまうというわけです。

だとすれば、血液型占いは当たって当たり前ですね。

上にも書いたとおりスキーマは生きるために必要です。

あったほうが安心できますし、楽ですから。

ただ、行き過ぎると考えることがまったくなくなり、よく言われる人を外見で判断すると同じことになります。

人を血液型で判断するというわけですね。

そして、さらには「B型だから嫌だ」といった差別に繋がったり、「O型の方が管理職に向いている」などと言った形で人事に考慮されるようになるとすると本当に問題でしょう(この例は私が適当に考えたもので意味はありません)。

では。


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