あまり日本では報道されませんが、現在、フランスでは年金支給開始年齢引き上げに反対して、大規模なストライキやデモが行われています。
マクロン政権が年金支給を開始する年齢を現在の62歳から64歳に引き上げるなどとした制度の改革案を示したのに対して、労働組合側が激しく反発しているんですね。
そして、「フランスを停止させる」というスローガンのもと、1月から6度目となる労組の大規模抗議が行われています。
主催者によれば、フランス各地で開かれたデモ集会にはあわせて350万人が参加したとのことです。
このうちパリ中心部のデモに参加した労組の代表のひとりは「1月以来、数百万にのぼる人々が反対の声をあげているのに政府は一向に聞く耳を持たない。デモもストライキもギアを上げるしかない」と述べ、今後も抗議を続ける考えを示しています。
要するに政府が改革案を撤回するまでは戦い続けるというわけです。
下手をすると政権が倒れる事態にまで至るかもしれません。
しかし、そこまで騒ぐことかなあ。
年金支給開始年齢を62歳から64歳にするだけですよ。
たった2年、しかも、64歳なんて、それでもまだ日本(原則65歳)よりも早いじゃないですか。
ただ、フランスでは昔から労働者は一貫して退職年齢の引き下げを要求してきましたし、徐々にそれが実現していました。
それに逆行する政策だから国民の気持ちを逆撫でにしたのでしょうか。
本当にフランス人は働くのが嫌いですねえ。
そういえば、かなり前に仏大手生命保険グループ「アクサ」が、欧米やアジアの15カ国・地域で実施した退職後の生活に関する調査では、日本人就労者の退職希望年齢は61歳と最も高く、しかも7割以上が退職年齢の引き上げを望み、60歳を過ぎても働き続けたい人が多いとの結果が出ています。
労働に関する考え方の違いがよくわかります。
まあ、60歳を超えたのは日本だけですから、日本が特殊なんですが。
また、「リタイア後の活動計画」についても、欧米では旅行やスポーツ、ボランティアなどが挙がりましたが、日本では具体的な計画を持っていない人が目立ちました。
やはり日本人はワーカホリックのようです。
ところで、フランスでは労働組合の力が強く、しょっちゅうストライキがあります。
そして、一般市民は大変な迷惑を蒙るんですが、あまり文句は言わないんですね。
一種の連帯感みたいなものがあるからでしょうか。
今回のストライキにしても、ゼネスト(全国レベルであらゆるセクターの労働者が団結して行うストライキ)の様相を呈しています。
つまり、鉄道や地下鉄、電力会社、それに学校などで労組の組合員が一斉にストライキを行っているのです。
たとえば、高速鉄道のおよそ80%が運休したほか、パリの地下鉄では3本に1本が運休した路線もあり、社会の混乱が深まっています。
しかし、目立った不満の声はあがっていない。
ただし、デモについては、フランスでは最近、何かあれば、少し前の「黄色いベスト運動」のように暴動にまで発展し、店舗の破壊や略奪が横行しますが、これはこうした機会に乗じて不満分子が騒ぎ立てているだけだと思われますから、年金には関係ないでしょう。
ひょっとしたらコロナによる閉塞感がこうした騒動に拍車をかけたのかも知れません。
しかし、マクロン大統領はどうするのかなあ。
この未曾有の事態に彼がどのように対処するか、お手並み拝見といきましょう(今はフランスに住んでいないので完全に他人事です。
では