映画「市船ソウル」-験を担ぐ

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そこで、今日は「験担ぎ」を取り上げたいと思います。

一応、蛇足を書いておくと、最近、「ジンクス」は、「縁起のよいもの」について使われることも多いようですが、本来は、「縁起の悪い人(もの)、悪運」(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」)を意味しますので、ここでは「験を担ぐ」を使用しています。

ということで本題に入ります。

現在、「市船ソウル」(監督:秋山純)という映画が公開されていますが、ご存じでしょうか。

簡単にストーリーを説明します(実話ベースの作品です)。

「船橋市立船橋高等学校の吹奏楽部に所属し、トロンボーンを担当する浅野大義は野球部のために、オリジナル応援曲を作曲する。

そして、完成させた「市船soul」は、試合のラッキー曲として愛される。高校を卒業した浅野は、高橋のような音楽教師になろうと音大に進むが、がんに倒れる」

冷血漢との定評がある私にはまったく不向きの感動話ですね。

それはいいとして、この浅野さんが作った応援曲「市船soul」は、高校野球の大会で演奏すると得点につながるという「神応援曲」として今も受け継がれているとのことです。

ううむ、結構なことなのでしょうが、「演奏すると得点につながる」というのが引っかかります。

これは、上に書いた験を担ぐという行為の一つですが、こういう考え方は実際にプレーする選手たちを馬鹿にすることにならないのでしょうか。

個人の能力や努力を無視している。

選手たちも、たとえ勝っても、「応援曲のお蔭だ」なんていわれたら、立つ瀬がないでしょう。

そういえば、昔、「昨日巨人が勝ったのは俺が赤いパンツを履いていたからだ」なんて本気でいっていた男性がいましたが、彼も選手たちのことをなんだと思っていたのでしょう。

しかし、世の中には験担ぎが山ほどありますね。

たとえば、勝負や受験の前に「トンカツ」を食べるなんてことは沢山の人が経験があるんじゃないかな。

他にも、

・  塩を盛る

・  お茶を飲まない

・  試合で勝ち続けている間はユニフォームを洗わない

・ 玄関先に盛り塩を置く

・ 番号の末尾が「9」になっている紙幣を財布に逆向きに入れる

等々

要するに、以前に良い結果が出たから、同じ行為を繰り返し行い、再び良い結果を得ようとするわけです。

また、自分の力が及ばない部分、いってみれば神の領域に願いを届けたいという気持もあるのでしょう。

一流のスポーツ選手にも数多くいますが、彼らも可能な限りの努力をしても、最後には運が左右する部分があることを知っているので、験を担ぐのでしょう。

そういう気持はよくわかりますし、自分自身のみに関わることだったら別に何をしても構わないと思います。

しかし、これが他人にまで及ぶとなると話は別です。

周りの人間に迷惑をかけても平気でわけのわからない行動をとったり、他人に無理やり強制するとか。

たとえば、ある宅配便トラックの車体に描かれたシンボルマークに触れると幸せになれるという験担ぎが広まったため、交通事故の可能性もあるとしてシンボルマークを別のものに変更するという出来事がありましたね。

また、こだわり過ぎることにより、強迫性障害のようになってしまい生活に支障が出ることもあります。

最後に書いておくと、実は験担ぎに何の意味もないとはいえないのです。

ドイツ・ケルン大学の研究チームが、パターゴルフを使った実験で験担ぎの効果を検証しています。

実験では集めた参加者たちにパターゴルフをしてもらうのですが、参加者の半分には「このボールは幸運なゴルフボールです」と言ってボールを渡し、残りの半分には「このボールは普通のゴルフボールです」と言って渡します。

その上でパターゴルフを行ってもらったところ、「幸運なゴルフボール」と言われた参加者のほうが明らかにパットの成功確率が高かった。

つまり、「このボールは幸運なゴルフボールだ」という思いがパットの成功確率を挙げたわけです。

ただし、験担ぎによって実力以上の成果を出せることはありません。

あくまでも、本来の実力を発揮しやすくするための手段と考えるべきでしょう。

では


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