こんにちは、祐(たすく)トキです!
2022年12月20日、日本銀行(以下日銀)がこれまで0.25%程度だった長期金利の上限を0.5%程度まで引き上げると発表しました。
維持する見通しだっただけに、寝耳に水。
まさにサプライズでした。
世界的にも金利上昇局面であるため、事実上の金利上昇とも言われています。
これによって私たちの生活にいったいどんな影響があるのでしょうか。
一生懸命調べてみても、難しい言葉で書かれた記事ばかりではうんざりしてしまいますよね。
ですが、きちんと知っておいたほうがいいのは間違いありません。
実際に住宅ローンの販売に8年間携わっていた私が、図解も入れつつ、丁寧にわかりやすく噛み砕きながら解説していきます。
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こんな人におすすめ
・住宅ローンの知識がほとんどない
・日銀の金融政策の修正をわかりやすく教えてほしい
・どの金利タイプで組めばいいかわからない
・これから借り入れ・借り換えを考えている
・リスクヘッジのやり方を知りたい
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①金融政策の修正で住宅ローンの金利に影響はある?
まずは住宅ローンの金利がどうやって決まるのかからお話ししますね。
今回関係がありそうなところだけをかんたんに解説します。
⑴住宅ローンの金利が決まる仕組み
●固定金利
一般的に、固定金利は「新しく発行された10年国債の利回り」が基準です。
国債は債権市場で取引されているため、利回りは常に変動しています。
しかし、今の日本では、日銀が介入することで利回りの上昇を抑えてくれています。
今回の金融政策の修正は、
「今まで0.25%付近でコントロールしていた利回りを0.5%付近までは上がっても良しとしますよ」
ということ。
抑えていた手を少し緩めるよというお話で、実際に10年国債の利回りは一時0.46%まで急上昇しました。
これを受けて固定金利も上昇するのではないかと言われています。
●変動金利
一方、変動金利は「短期プライムレート」と呼ばれる金利が基準です。
短期プライムレートとは、銀行が企業に1年以内の短期資金を貸し出すときの最優遇金利を指します。
日銀の政策金利に影響されますが、今回はマイナス金利のまま変更されませんでした。
⑵金融政策の修正による住宅ローンへの影響
住宅ローンの金利が決まる仕組みをかんたんに解説しましたが、正直難しいですよね。
日銀の金融政策と住宅ローンは「関係がある」、そして今回の修正による影響は「固定金利アリ、変動金利ナシ」ということがなんとなくでもわかってもらえればOKです。
ただし、すでに全期間固定金利で組んでいる人の金利が変わることはありません。
影響早見表を作ってみましたのでどれに当てはまるか確認してみてください。
上の表のとおり、現時点で影響があるのはこれから固定金利で住宅ローンを借りる方ですね。
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【★まとめ★】
・日銀の金融政策は住宅ローンの金利に影響する
・現時点では固定金利に影響あり、変動金利は影響なし
・すでに全期間固定金利で借りている人への影響はなし
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②固定金利はやめたほうがいい?
現時点で変動金利に影響はなく、固定金利は上がりそうだと聞けば、住宅ローンの組み方を迷ってしまいますよね。
金利が上がるならば固定型はやめたほうがいいのでしょうか。
固定金利の動向を見てみましょう。
⑴固定金利はすでに上昇傾向
2023年1月よりすでに固定金利を引き上げている銀行があります。
当初10年固定型について、大手5行の引き上げ幅は以下のとおりです。
平均0.236%の上昇で、どの銀行も1.0%台に乗せてきました。
固定金利はすでに上がり始めているのです。
この表に載っていないネット銀行や全期間固定型においても上昇傾向です。
また、まだ発表のない銀行も今後引き上げる可能性はあります。
一方の変動金利は各銀行ともに据え置きとしています。
金利は少しでも低いほうがいいため、低金利である変動型が魅力的に思えますよね。
教科書どおりに言うと、金利が上昇しそうなタイミングでは全期間固定型を選択するのがいいと言われています。
変動型は組んだ後でも常に金利上昇のリスクがつきまとうので、完済まで返済額が一定である全期間固定型が安心というわけですね。
変動型については後ほど解説します。
⑵気をつけて! 当初固定金利のワナ
全期間固定型と違い、当初固定型は組んだ後もリスクがあります。
当初固定型は借り入れ後からしばらく(=当初)の間金利が固定されるという商品です。
10年固定や20年固定など期間はさまざまで、固定期間選択型と呼ばれることもあります。
金利は固定期間が短いほど低く、長くなるほど高くなります。
金利の低さは
変動<当初固定<全期間固定
という順です。
当初10年固定で借り入れた場合、最初の10年間の金利は変わりません。
固定期間が終わった10年後に固定型か変動型かを再選択します。
もう一度固定型を選ぶこともできますが、気をつけたいのは10年後の金利が適用されるということ。
今回のように途中で金利上昇があった場合、10年後から上昇後の金利で返済していくことになるのです。
こちらの表で、当初固定金利でも影響の可能性ありとお伝えしたのはそういう理由からです。
固定と名はつきますが、リスクがあるのにもかかわらず変動型よりも金利は高く、私個人としてはあまりおすすめしていません。
固定金利はこの当初固定型しか扱っていない銀行もあります。
全期間固定型は私たちにとっては安心ですが、銀行側としては金利の急上昇があった場合でも金利を上げられないためリスクです。
そのため、途中からでも金利上昇を上乗せできる当初固定型で組んでもらえるほうが助かるのです。
固定金利といえば、完済まで金利が変わらない「全期間」固定型を指すのが一般的です。
名前が似ていてややこしいですが別物ですのでご注意ください。
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【★まとめ★】
・全体的に固定金利は上昇傾向
・金利上昇局面では全期間固定型がいいと言われている
・当初固定型には金利上昇リスクがある
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③変動金利はやめたほうがいい?
先ほど、金利上昇局面では全期間固定型がいいとお伝えしました。
しかし、低金利である変動型が人気なのも事実です。
住宅金融支援機構による2022年4月調査では、変動型で借り入れている人は73.9%でした。
今後は変動型で組むべきではないのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。