苦労を喜びに思う ~みいこ~ 

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彼女に出会ったのは嵐の日で
集合住宅の二階に住む私の部屋の前に
何故かぼろぼろの彼女が玄関前に現れた
小さな声で鳴いている彼女に私と母は
慌てて部屋に招き入れた
部屋に入ると私の残り物のカップラーメンを食べ
満腹になると床についた。
私の家は喧嘩も絶えない家なので
こんなに穏やかな気持ちは久しぶりで
スヤスヤ寝る彼女が愛しかった。
毎日の喧嘩や罵倒は変わらないが、
そこに少しだけ平和な穏やかな時間ができた。
彼女はおてんば娘でお散歩で木に登り
降りれなくなり大騒ぎしたり
カラスを見つけてキラキラした目で
真似して鳴いて見せたり
カーテンをよじ登ってたりして笑わせてくれた。
彼女は私の妹で私の子供でもあった。

16年彼女は私のとなりで過ごし
私の生活から消えてしまった。
一昨年の私は仕事で完全な社畜ちゃんで
誰かに代わってもらうわけでもない
終わりの来ない仕事に追われていて
家に帰るとお酒を飲んで寝るだけになってしまった。
毎日少し変わっていく彼女にもわかることが
できなかった。
歳を重ねてだいぶ大人しくなった、
少しだけ神経質がました。
その程度の変化に感じた事がサインだと
なんで気が付けなかったのだと
今でも不意に思う。

急性白血病だと医者に言われて
頭が白くなり
足元に穴が空いたみたいな感じがした。
もう何もできない状態で
家に連れて帰って来たが、
その日の夜に急変
タクシーを呼んだがそのタクシーに
乗り込んだ途端に
大きな息ともに彼女は虹を渡り
私は もう、いく必要がなくなりました。
泣きながらお金を払い
その場で崩れ落ちた…
彼女はまだ温かく私の涙でびしょ濡れで
ただ、寝るだけに見える
私は彼女を抱きしめて
子供の頃に好きだった公園の石畳の階段に
座って泣いて泣いて冷たくなるこに嗚咽した。
そこに、よく公園で猫のお世話を焼いている
おじさんが私に気づきこちらに来て
彼女と私の今までの話を聞いて
抱きしめてもらいながら旅立つなんて
そんな幸せな事ないだろう
そう言い、泣きやむまで側にいてくれた。
その日はいつものように
二人で眠りいつもなら温かくなる布団が
今日はそうではないことにまた泣いた。

翌日は小さな壺になり、私のもとに
帰って来た。
私の一部は彼女と消えた。
今もそこには穴があり埋まらない。

私は風邪を引いた事にし三日仕事を休み
お別れを済ませ
仕事に行き  

上司に 風邪で休むなんて責任が足りない

そう言われて私は今までの私は何のために
頑張っていたのだと気持ちが折れた。
私は今の社畜でそれでも幸せだと思い込んで
生きていたことがおかしい事に気が付いた。
間違いなく、私はおかしくなっていたんだ。
彼女ともっと一緒の時間を大切にして
過ごしていれば
戻ることのできない時間には
思いをはせても、変わらない。
これから私は自分の事を
やり直し、同じように苦しくて
それでも気持ちを吐き出せない人や
頑張りすぎる人
大切な子の想いに苦しんでいる
そんな人の気持ちを少しでも
楽に出来たら少しだけ
彼女が褒めてくれるかもなんて思いながら
カウンセリングを勉強し初め
普通より記憶しているのや勉強が苦手な私だけど
なんとかカウンセリング資格を取れた。
周りにしたら簡単な資格でも
私には初めて取れた資格で彼女に報告した!
資格よりカウンセリングは
私の経験のが相手に寄り添いあえるいい力に
なってるみたいな気がしますが、
あの時、私でも何かが出来ると自信をつける経験
をしたのはとても良い経験だと思える。

あの日、彼女が虹の橋を渡り
毎日持病で苦しいなか笑顔で社畜して生活して
働かざる者…とか、堪え難きを…なんて
おかしい考えで生きていた私は今はいない
彼女の分も生きて幸せになる。
時間も大切に使って生きる。
それで、彼女に会う時が来たら、

ありがとう、そう言いたいな。

あなたが、あきれながらでも
もう一度、私を受け入れてくれるなら
みいこのお姉ちゃんにまたしてください。





















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