データドリブン経営の要諦

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ビジネス・マーケティング
DX(デジタルトランスフォーメーション)の一つの側面として、”データドリブン経営”というものがあります。
これは簡単に言うと”データを活用して経営をする”という意味になりますが、実際にこれを行うには様々なポイントがあります。
ここでは3つのポイントを取り上げます。
 1.経営の本筋は”顧客提供価値の増大”ですから、顧客価値につながる情報をどうやって数値化するか?
 2.その数値は客観的事実か?
 3.データ連携は取れているか?

1. 顧客提供価値の数値化

これまで数値化が難しかった領域で、技術の進歩により急速に数値が取得できるようになりました。
提供するのが料理であれば、素材の糖度などの数値や栄養価やある種のおいしさなどの数値化が進みました。
他にも人の喜び具合や、人の行動、様々なものの老朽化の度合いなど、それまで考えられなかったようなものまで数値化が可能になってきています。
技術が日々進歩しているために、新たな数値が次々と登場しており、自分のビジネスに対して的確な数値を取得し、生かした者が、既存のビジネスルールを覆して市場を席捲するといった状況があらゆる業界で起こっています。
頭の柔軟さと、想像力が生き残りのカギを握ると言えるでしょう。

2. その数値は客観的事実か

様々な数値が得られるのはいいのですが、同じ数値であってもその意味合い変化するものも多いのが現状です。
例えば、グルメサイトや、ショッピングサイト評価数値は、当初は素直に顧客満足を数値化するものでしたが、その価値が増大するにつれ、見返りのためにバイアスのかかった評価をしたり、個人的な感情による評価が数値をゆがめる事象が増えてきました。
数字はうそをつかない”などと言われることもありますが、数値が意味する事実をどの程度反映しているかは、常に意識しておかないと、いつの間にか数値事実かけ離れることもあることに気を付けましょう。

3. データ連携はとれているか?

ネットの記事を見ていると、DXの流行りに乗って、このシステムを入れれば経営数値現場数値連携させて、データドリブン経営が達成されるといったニュアンスの記事をよく見かけます。
しかし、実際のオフィス現場では、データはあるのに連携できない事例がいかに多いかに驚かされます。でも、多くの場合それは当たり前なのです。なぜなら、それらのデータを生成しているシステムは”その業務を自動化、最適化”するために設計されるためです。
例えば企業が顧客となるビジネス(BtoB)では、”顧客コード”一つとっても、営業の現場では見込み顧客なので”会社”単位ですが、経理では”請求先”単位が必要で部署別拠点別で管理しなければならないかもしれません。売り切り系のビジネスと、サブスクリプションではさらに顧客の捉え方が変わります。それぞれで顧客を定義するとしたら、コード体系が異なっていても不思議はありありません。体系考え方が違うデータを連携させるのは容易なことではないのです。
これを解決するには、部署システム単位ではなく、会社業界としてのデータ体系の定義が必要です。これが”マスターデータ”という考え方です。これは、組織内のデータを”会社の財産”として再定義し、会社のトップが個別の業務ユニットとは独立させた形で定義扱い設計・維持する取り組みが欠かせません。

日本ではまだまだ”データドリブン経営”の本質が理解されておらず、BIのシステムを入れれば会社全体見える化できると思っていたり、各組織に”データを出せ”と一方的号令をかける経営者が多いのではないかと思っています。(欧米ではトップにMBA取得者が多く、その過程で”データ”の意味を学んでいると思われます)

日本企業の生産性向上生き残りをかけて、一日も早い”データドリブン経営”の浸透を願ってやみません。
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