【海外就職】クルーズ船で働く その2

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コラム
1997年の4月の23歳の時、私はクルーズ船で働くことになり、沖縄に飛んだ。

(前回のお話し↓)

ちなみに、船の世界は、以下のような、完全階級制である。

オフィサー:キャプテン、エンジニア、ドクターなど、特別な資格がいる人達。北欧出身が多い。

スタッフ:フロントデスク、マネジャークラスの人達。

クルー:上記以外の人達。レストラン&ショップ担当、ダンサー、ハウスキーピングなど。

(ちなみに乗組員を総称して「クルー」とも呼ぶが、階級として扱う場合は、「」をつけて区別したい。)

そんな階級制度の縦社会で生きている、私達の部屋の話しを今日はしよう。

オフィサーの部屋は、客室と同じカテゴリー。

それ以外は、船底のクルーキャビン行きとなる。

船をよくみると、船体に小さな点があるのが見える。

あれは、窓である。

上から下に行くにつれて、点が細かくなっていくが、あの数だけ、部屋があるのである。

要するに、上に行けばいくほど、広いお部屋で窓が大きく、下に行けば行くほど狭く小さい部屋なのである。
写真船体.jpg

クルーキャビンも階級制だ。

「スタッフクラス」は、1人か2人部屋。

「クルー」は、4人部屋から12人部屋。ちなみにベットは2段ベットだ。

シャワー、トイレは、各部屋にある。

これによると、私は、「クルー」なので、本来なら、4人部屋以上になる。

しかし、私のルームメイトは、オージーの美容師のアマンダだけだった。

日本人スタッフのトモコさんによると、日本は、初寄港地となり、日本人採用もこの会社では初めてだったので、優遇されて、2人部屋になったとのこと。

何よりも驚いたのが、500人のフィリピンと中国人「クルー」達の扱い。

彼らは、契約会社がまた別らしく、規則がより厳しい。

なんとお給料は、1か月、US500ドル。

そのうち、250ドルは、強制的に国にいる家族に送金される。

彼らは、出稼ぎ者なのだ。

夫婦でドミトリー生活をして、自分の子供を国の両親に預けている人たちもいた。

部屋割りは、会社が勝手にやるので、ルームメイトに不満があると、交換リクエストができる。

同部屋のアマンダは、オフィサーの彼氏がいて、優雅な彼のお部屋に泊まることが多かった。

しかし、彼と喧嘩すると部屋に戻ってくるので、そんな時は、どうか早く仲直りして、1人部屋に戻れますようにと小さな窓から星に願った。

こんなにクルーがいれば、ハレンチな事も起きる。

たまーーーにあるのが、妊娠してしまい、辞職するパターンである。

どうやら、妊娠した場合は、下船しなくてはならないらしい。

飲酒は、部屋の中では禁止なので、クルーバーというクルー専用のバーで、お酒を飲む。

なかなか窮屈な生活。

そんなわけで、規律が乱れないようにと、部屋の抜き打ち検査がたまにある。

これは、お酒、ドラッグなどいけないものがないかのチェックだ。

当日担当のオフィサーがノック2回のあと、

「キャビン インスペクショーーーン!!」

という声と同時にドアを開け、ガサ入れが始まる。

何か、怪しいものが見つかったら、罰金だ。

そんな抜き打ち検査を、どういうわけか、予測する名人がいた。

彼によると、クルーバーにいる人数が多い翌日はご用心とか、

次の抜き打ち検査になりそうなオフィサーを嗅ぎつけて、

かなりの高確率で、検査日予測を当て、多くのクルーを助けた。

そして、お礼にクルーバーでおごってもらったお酒をおいしそうに飲んでいる姿をよく見かけた。

♬ノックノック♪ キャビンインスぺクショーーン♫

というリズムが実によく、24年経った今でも、ふと思い出すことがある。

本日のお話は以上。では、また次回まで。

ご乗船誠にありがとうございました。
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