こんにちは。ねこまるです。
今回のテーマは、安静による体への悪影響について解説していきます。
前回の記事では、骨折後のリスクが高いため安静にしている時間が必要と書きました。
まだ呼んでいない方は下記のリンクから、呼んでみてください。
安静にしていると、体に色々な弊害が出てきます。
一見、ベッドに寝ているだけなので体力を回復させているイメージがあると思います。
でも、安静って実は怖いんです。
この記事を読み終わる頃には、寝ることが怖くなるかもしれません。(笑)
安静による体の変化一覧
1 筋力低下
安静にしていることにより、筋力が低下します。
これは多くの人が想像つくのではないでしょうか。
安静により1日で12%ほどの筋力が低下するというイメージです。
2 骨粗しょう症
骨が過剰にスカスカになり、折れやすくなる状態のことを言います。
一般的に、女性の高齢者に多いと言われています。
原因としては、閉経後のホルモンバランスの変化が一般的です。
しかし、ベッド上安静でも骨が弱ってきます。
立ったり歩いたりする機会が減少するため、骨に対して体重がかかっている時間が極端になくなります。
そうすると、骨はスカスカになっていきます。
丈夫な骨を維持するためには、適度に歩いたり立ったりして、体重をかけてあげることが重要です。
3 関節が硬くなる
これはなんとなくイメージができるのではないでしょうか。
約2週間で関節が硬くなります。
最初は、約1週間で筋肉が硬くなり、筋肉の長さ自体が短くなっていきます。その後、関節を包んでいる袋(関節包)が硬くなり、徐々に関節内の組織に変化が起こってきて関節が硬くなっていきます。
このようにして関節がどんどん硬くなっていきます。
4 心臓の機能低下
1週間で心臓の筋肉の重量が1〜2%程度減少するという文献がありました。
心臓も、足や腕と一緒で筋肉でできています。
そのため、しっかりと使用しないと筋肉が痩せてしまうようですね。
そのため、体力も臥床1日あたり約1%低下することがわかっています。
5 血管が詰まる(深部静脈血栓症)
これも怖いことです。
一般的にはエコノミー症候群として知られていることが多いと思います。
安静にしていることで血の流れが悪くなって、血の塊(血栓)ができます。
その血の塊(血栓)が何処かに流れていき、脳につまれば脳梗塞。肺に詰まれば肺塞栓。心臓に詰まれば心筋梗塞。
どの疾患名を聞いても一大事です。
命に関わるものばかりです。
この深部静脈血栓症は、ふくらはぎにできやすいと言われています。
長距離の移動の時に、トイレを気にして水分摂取をわざと控えたり、足を動かさない状態が長く続いたりすると血栓ができやすいので、注意が必要です。
まとめ
以上、簡単に安静による弊害をまとめてみました。
各弊害についての経験談は、また別の記事にて書いていきたいと思います。
安静って体に負担をかけないイメージで、病人・怪我人に対しては「寝てた方がいいんじゃない?」なんて声かけをついついしてしまいがちです。
しかし、寝ていることの弊害の方があまりにも多いと思います。
退院後、患者さんが「普通」に暮らせるようになるためには、意外としっかりと体力をつけなければならないことが多いです。
今はコロナの影響で面会ができない病院がほとんどだと思いますが、今後面会に行くようなことがあれば、「一緒に病棟を歩いてみよう」とか、「あまり寝ていると体に毒だよ」なんて声かけをしてあげると、患者さんのためになるかと思います。