皆様こんにちは。
本日はオーディションについて少し触れていこうと思います。
始めに注意としまして、オーディション全てがここに書かれる内容に該当するという内容では無く、あくまでそういったものが多いという事をお間違えの無いようご注意ください。
まず、私自身は芸能事務所といっても音楽事務所勤めだった為、歌手、アーティストのオーディションがメインとなりますが、基本的に芸能系のオーディションはあまり大差はないかと思います。
実際、アーティストとして事務所所属経験もあり、
スタッフ側として審査する側にもなり、
受ける側、審査する側、どちらの視点も知ったうえでまとめて行こうと思います。
①受ける側と審査する側の思想がそもそも違うことが多い
まずは受ける側ですが、そもそもオーディションを受ける人はなぜオーディションを受けるのでしょうか?
歌手になりたい?声優になりたい?役者になりたい?有名になりたい?芸能人になりたい?
色々目指す先はあるかと思います。
なりたいものがある、またはやりたいことがあるけれど、
・何をしたらいいか分からない
・何かしようにもお金がない
こういった方が多いかと思います。
また、イメージの問題として、オーディションに合格して事務所に所属出来れば何か出来るんじゃないか?売り出してもらえるのではないか?
他にも人によりイメージや考えはあるかと思いますが、
私の見てきた所、上位のような方が特に多いイメージがありました。
一方、審査をする側、オーディション開催側は何を求めてオーディションを行っているのでしょうか?
・新しい才能を発掘する為?
・プロジェクトに合う人材を見つける為?
審査側の求めるものは内容により異なるかと思いますが、
基本的には新しい戦力を求めて人を集めているわけですね。
ココまでを見ると、受ける側は自信の才能の発揮の仕方が分からないから、発揮できる場所、発揮の仕方を教えてくれる場所を探している。
審査側は新しい才能を探している。
という訳で、ニーズがかみ合っているように思うのですが、
それももはや古い話になってきてしまっています。
確かに、ひと昔前は上記のニーズがかみ合っていたので、
オーディションが開催される
↓
才能ある人、または自身の才能に気づけていない人がオーディションを受ける
↓
合格後その才能を生かすために事務所が育ててく
という構図が成り立っていたのですが、
年々芸能職に吹く風あたりは悪くなっております。
音楽業界を例にあげますと、皆さんここ数年でCDのミリオンセラーがどれくらい出ていたか知ってますか?
過去5~6年をさかのぼっても、数自体は多くなく、ほとんどがアイドルなんですよね。
AKBやジャニーズ等。
アイドル以外の歌手の方だと
・DREAMS COME TRUE
・三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
・小田 和正
・松任谷 由実
・安室 奈美恵
・中島 みゆき
・BTS
・米津玄師
ここにアイドルの方々が入るくらいかなり限られた数なんですね。
1980~2000年代頃までも確かにアーティスト数的には誰でもミリオンセラーがあると言う訳ではありませんが、まだ数も多く、何より、ダブルミリオン、トリプルミリオン、それどころか何千万枚と売れていた時代だったんです。
それが近年は数年に1度ダブルミリオン、トリプルミリオンが出るかどうかぐらい音楽業界全体のCD売り上げが下がってるんですよね。
当然ですね。
今はどう見てもストリーミングの時代。
ハードウェアではなくソフトウェアが主流の時代です。
音楽もCDではなくストリーミング配信やダウンロードコンテンツになっていますよね。
これが何を意味するかというと、昔に比べると売り上げが極端に減っているんですよ。
音楽業界だけにとどまらず他の業界も時代の変化により、
それまでメインとなっていた資金源の価値が下がってしまい、
新しく出てくるコンテンツはソフトウェアが主流になってしまっているので、
かなりの売れ数が無いとまとまったお金にならないという事態。
これがオーディションにどう関係してくるんだ?
と思いますよね?
②知っているか知らないか
さて、上記の内容がオーディションにどう関係するのか。
そもそも、昔はこのオーディションを行うことによって、
新たな才能=新人を発掘し、
育てる
というのがプロデュースだったんですね。
職種によりますが、歌や演技、ビジュアルや認知等、
芸能に準ずるのであれば必要なスキルは多数あります。
それが最初から全て備わっている人なんてそうそういないわけですから、
仕事が出来るレベルまで育てる必要があるんですよね。
昔はそれが出来たんです。
資金的にも余裕があったから。
それが年々、育成に回す資金がなくなってきたことによって、
オーディションの形態も変わってきたわけです。
そう、
オーディションで求められる人材が、主に即戦力な人に集中するようになったんですね。
育てるという時間と資金を限りなく少なく出来て、
尚且つすぐに利益が出せる活動が出来そうな人を合格させる。
こういう形になってきたんです。
例外としまして、たとえは既に存在して活動しているグループなどに入るためのオーディション(例:EXILEやジャニーズ、AKBグループ等)は、
既に媒体に知名度があり、すぐに動き出せるということがあるので、必要なスキル力が高い人が選ばれるでしょう。
また、最近ですと日本のソニーミュージックと韓国のJYPエンターテインメントの合同プロジェクトで出来たNijiUや、AAAのSKY-HIさんが自腹で1億かけて行っているオーディション等の様に、すでに莫大な認知を誇る会社やアーティスト、プロデューサーがオーディションを開催するという場合もスキル力や光る物を見ていることが多いので例外かと思います。
問題はそれに該当しない、普段から行われているオーディション等。
極端に言ってしまえば、そういったオーディションに即戦力といえるような人はほとんど来ないといっていいでしょう。
では、即戦力とはどういう人なのでしょうか?
歌が物凄く上手い人?
素晴らしい曲が作れる人?
ビジュアルが凄く良い人?
素晴らしい演技が出来る人?
声の良い人?
皆さんどう思いますか?
一般的に言われている即戦力といわれる人は、認知度が高い人。
つまりすでに何かで有名だったり沢山の人に知られている人という事になるんですね。
多くのオーディションを受ける方がこれを知らないまま、
黙々と実技力を鍛えてオーディションに挑むのですが、
技術だけがあっても意味がないという時代になってしまっているのです。
認知が無くても、例えばテレビに出たりして宣伝してくれれば!
と思うかと思いますが、その為のに費用を出し渋るんですね、事務所は。
だって成功するか分からないんですもん。
そういえば、過去にエイベックスが20周年記念という事で全面プロデュースでガールネクストドアというクループがデビューしましたが、わずか5年で解散していましたね。
これはオーディションではなかったんですが、デビュー前から物凄い宣伝がされていたんです。
それはもう大々的に。
まぁエイベックスの全面プロデュースですからね、失敗するわけにはいかない。
それが出だしは良かったもののどちらかというと大失敗に終わり、早々と開催になりました。
これ以降、まったくの新人のデビューに関して大きな宣伝はあまり見なくなりましたね。
そもそも、ネットワーク時代になっている中、未だにテレビメディアに固執している段階で失敗は見えていたかと思うのですが。。。
そんな業界背景もあったことにより、何処も即戦力を欲しがるというのがオーディションの常。
なので、薄っすらとそのあたりを感じ取っている人は動きを起こしているのではないでしょうか?
まさに今の時代ですね。
ニコニコ動画やYoutubeが浸透してからというもの、
それまで隠れていた才能がメディアを通さず一般の方に発信出来るようになった事により、場合によってはそこらの芸能人より知名度があったり人気だったりする一般人が出てくる時代になりました。
特に音楽のシーンは、10数年前の段階でニコニコ動画で沸々と頭角を現していた方々が表立ってきているのが皆さんも見てわかるかと思います。
現在話題になる曲やアーティストは大半ニコニコ動画出身の人じゃないでしょうか?
逆にメディアや事務所側も今更着目し始め、番組コンテンツで紹介したり、有名人がYouTuberのような事をしたりし始めていますね。
そこでまた現在、ボーカロイド楽曲シーンや歌ってみた、踊ってみた等のニコニコ動画ではやっていたコンテンツが今はYouTubeやTik-Tokをメインに新たに参入する人も増え、日々若年層により拡散が広まっている時代になってきました。
そう、芸能関係で何かをしたいという人にしてみれば、チャンスの幅が広がった時代なのです。
皆さん正直、自身がオーディションの審査をする側だった場合で考えてみてください。
①スキルがある(歌える、ビジュアルが良い、声が良い、演技がうまい等)
だけの人と、
②特筆出来るほどのスキルはないが、すでに1万人のファンがいる人。
どちらを売り出したら事務所的に儲かると思いますか?
悲しいかな、正直な所、どれだけスキルがあっても、それを知ってもらって、好きになってもらって、お金が使われるようになるまでって物凄く時間がかかるのです。
しかし、すでにファンがいる場合、大体何をやっても利益が出るんですね。
例えば上記の2人が歌手デビューしたとしましょう。
どちらも同じ日にCDをリリースしました。
①の人は物凄く歌がうまいですが、そもそもその人の事を知っている人がほとんどいないので家族や友人くらいにしか売れませんよね?
②の人は特段歌がうまいわけではなくとも、今の音楽はほとんど補正が入っているので、CDになってしまったらうまい下手はほとんど分からない。
尚且つすでにいる1万人が買ってくれる可能性が高い。
となると、オーディション的には②の人のほうが合格しやすくなるわけです。
(スキルが無くてもいいという事ではありません)
嫌な言い方になるかもしれませんが、オーディションを受けているという事は、それはもう趣味で行う訳ではなく、仕事としてそのスキルを活かすという事です。
つまり、どんなに綺麗事を並べてもそこにお金の話が付いて回ってしまう訳です。
どれだけお金がかかるのか、どれだけプラスが出せるのか。
事務所側はちゃんとしている所はほとんど株式会社だと思いますので、法人税を払わないといけないわけです。
勤めているスタッフのお給料や会社の維持費、何かを行うための投資にアーティストへの支払い。
恐らく皆さんが思っている以上に1つの事柄に多くの人が動くので、かかる費用もバカにならないわけです。
(正直無駄だと思う事も沢山ありますが)
なので、現在何かのオーディションを受けようと思っている方、今後オーディションを受けようと思っている方は今一度確認してみて下さい。
自分が合格すれば利益が出せるのか
これはオーディションに関わらず、就活などでも近いものがあるかと思います。
結局の所、企業の中に入る(オーディションや面接等)という事は、
企業側的には利益を出せる人を雇いたい訳です。
なので、この人を採用すれば利益が出せるぞ!と思わせられればオーディションでも面接でも合格率が上がるわけです。
長くなりましたので今回はこのあたりにしておこうかと思います。
今後も色々情報をまとめていければと思いますが、
こういった事を聞きたい、等ありましたらメッセージ等頂けると幸いです。
それでは。