パーソナルカラーとか――イエベ?

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コラム
 今、流行りのパーソナルカラー。
 個々人の似合う色やメイクの仕方などを教えてくれる、大変ありがたくもお世話になっている、個人を飾るには便利なカテゴリ分け。

 これを、着物にもってきて、私、イエベなんですが、これこれこの着物、合いますか? と、お聞きになる方がいらっしゃる。

 いえべ、って、なんだ?

 と、着物業界、特に和裁士に尋ねられたら、まず、思う。検索しても、第一候補に「家辺」が出てくるんだもの。

 そもそもが、パーソナルカラーとは洋服に合わせたもので、イエローベースとブルーベースに大別され、その中でさらに、春夏秋冬、カラーパレットなんかが表れて、あなたに似合う色はこんな色です。と、教えてくれる。

 では、洋服と和服では、何が違うのかといえば、纏う色の数と覆う面積が違うのだ。大雑把に言って、和服は、着物の色、帯の色、帯上げの色、帯締めの色、と、重ねるというより並べる感じである。
 対して、洋服は、上半身、下半身と大別され、上半身ならインナー、トップス、アウターと色を並べるというより重ねていく感じ。
 多くの人が、小学生で絵の具を使ったことがあると思うが、白と赤を並べておくのと重ねて縫ってしまうのでは全然違う。並べただけでは色は交わらないが、重ねて塗ってしまうとピンクになっちゃうのだ。
 面積に関しては、着物は円筒をくるっと包むが、洋服は球を丸っと包み込むようなイメージ。必然的に、洋服のほうが纏う面積が広くなる。

 つまり、目に映る色の使い方と面積が、洋服と和服では違ってくるので、洋服ベースのパーソナルカラーは、着物にはあまり当てはまらない。
 私事でいうなら、洋服で壊滅的に似合わない緑が、着物の緑はちょっと違う。

 そんなわけで、実際に当ててみて、全体を見ないと、本当に似合うかどうかは判断できないのだ。似合わないと思っても、帯や周辺小物、羽織ものでもまた印象は違う。
 呉服屋に行って、反物まかれて不愉快だった。と、言う話はよく聞くが、参考までにお値段聞いてみようかなと思ったら負け。値段を聞く前までなら、逃げられるから、お値段の話になったら、勇気を出して遮ってみて。
 そして、嘘でもいいから、「ちょっとこれは好きじゃないかなー」とやんわり拒否してみて。ちょっといいかな。って思っても、今はこれじゃないな~。って言ってみて。
 着物は基本的に、好みに合わないものはお勧めされないから。

 確かに、強引に反物を巻かれるのは呉服屋としてはあんまり褒められた行為じゃないけど。

(令和3年12月)
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