ガノンドロフという素数

ガノンドロフというキャラクターがよくわからんという話をします。

この問題にかれこれ二十年近く取り組んでるんですが未だにわけわからん。

ふじょしあるある、おたくあるあるだと思うんだけど、好きなキャラクターとかの話題で「○○って××しそう～」みたいな話で「わかる～」って盛り上がるやつあるんですよ。

キャラクターの外見や言動、行動を自分の知識と重ね合わせて他者と共有し、自分の認識の強度というかリアリティを高めて、より身近に好きなキャラクターを感じられるのって面白いんです。

なんか難しい話になったな、あれです、「煉獄さんってお見合い結婚しそうだよね」「顔も見ないで決めそう」「話持ってきた人が信用できる人だったら即決しそう」みたいな話題で何か楽しくなってるオタクくんの話です。

割り算するオタクくん

三十年も生きていると、出会った人間やキャラクターの数もそれなりになるので、イラストを見ただけで性格悪そう、とか、意外とチャラそう、とか、片親で母親が仕事で忙しくて長男で兄弟に男いなくて妹の面倒いつもみてて器用そうとかなんとなく、わかったりするんですよ。最後のは三ツ谷隆なんですけどさすがに当たってびっくりしたわ。気持ち悪いわ。

キャラクターは、読者に何かしら伝えるための記号の集合体なので、だいたいそれを割り算してくと、色んなことがなんとなくわかります。

それを逆手に取って面白くさせる手法もあるけど、なんとなく「眼鏡キャラは頭脳派」みたいな古典的なイメージがあったりして、それに何をかけたらこのキャラクターになるのかな、みたいに計算する遊びをしながら私は二次創作というかキャラクターの理解を深めています。

計算の結果、出てきた答えが世間一般とかけ離れた解釈だったとしても、自分なりに納得がいけばオッケーなんですが、納得がいかない答えしか出てこないキャラクターが存在するんです。それがガノンドロフ。

リンク

ガノンドロフと同じゼルダの伝説シリーズのリンクは、自分なりの解釈がある。プレイヤーが投影しやすいように無個性でどうとでも取れるような描かれ方をしているので、私も好きなように解釈した。

割り算遊びの例として私が時のオカリナのリンクについて解釈したやつを羅列してみるね。

七年の時を越えて大人になる＝行動・言動が一般的な大人より子どもっぽい。無口な子どもだったから、特に仕草に出る。不思議に思ったら素直に首を傾げる。

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無口の理由＝妖精なしで微妙な立場だったこと、感情を言語化するのが上手な女の子（サリア）が幼馴染でリンクが言葉を見つけるより早く説明なり庇うなりしてくれた。コキリの森を出るまでそんな感じだったから、それ以降は自分がどう思うかより、周りがどう思うかで人格が形成されてきた感ある

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自己認識を他人に依存しがち。特に、勇者とかでっかい役目を与えられて、コキリ族だって思ってたら実はハイリア人でした！みたいに自分が思っていたことを裏切られて自分の感覚を信用していないし考える事も忘れている

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他者からの認識が消えると不安定になる。自分は一体なんなのか、何がしたいのか、わからなくなりそう。

ただ、そうならないようにリンクは物語の中で強靱な役目を与えられている。いろんなものがリンクを選んでくれている。（ナビィ・時のオカリナ・マスターソード・ゼルダ姫・勇気のトライフォース・エポナ等、選ばれたものに与えられるものから選ばれてる）

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自分から話題を振らないタイプ。相手から話しかけられたら自分の意見を言う。相手が乗って来なかったら会話はそこで終わる。あんまり話が弾む感じじゃない。

一人旅慣れしてるから、会話が弾まなくても気まずくなったりしなさそう。変なやつ、って思われても長い時間いっしょにいる相手じゃないからあまり気にしなさそう。

マイペースが淡々と続く人。感情とか気分で道を変えたりしない。

等々、書きだしたら止まらなくていっぱい書いちゃいましたね！

で、ガノンドロフです。困った、マジでなんも出てこない。何でも割れない。お前素数か。

魔王

ガノンドロフというのは、時のオカリナに出てくるラスボスで、ゲルド族っていう種族の100年に1人生まれる男性で、盗賊で、悪党で、とにかくすごい悪い人でもう世界とか出てくるたびに滅ぼしにかかってくる奴です。

スケールがデカいのと、一貫性がある悪党で、悲しい過去とか無くてもうただただ暴力の化身みたいな人だから好きなんですけど、だからわからなくて厄介なんですよね。

人が悪事を働くときの理由がわかると、だいたい人間性ってわかるじゃないですか。悲しい過去があったとか、むしゃくしゃしてやったとか、楽しいからやったとか、何かしらの理由が根源にあるはずです。

その理由の大小や質の違いはあっても、理由ってそんなに多くないから、いくらでも応用が効くんですよ。そのキャラクターに当てはめて割ってみて、出てきた答えで何かしらがわかるんです。

でも、ガノンドロフさんはなんで盗賊やってんのか、なんで魔王やってんのかイマイチわからないんですよ。

彼の生まれ故郷が砂漠地帯であったから、渇きはあったのだと思います。満たされないから奪う、という感じの。ただ、満たされない憂鬱が顔に全然出てこないからそれで割れないんですよ。

超笑顔だもん。高笑いしてるし、オルガン弾いてるし。オルガンと言えばこの人もハノンとか練習したんでしょうか。ちょっとかわいいですね。

原作で可愛いポイントもオルガンぐらいで、後は「スゲー悪い奴」って印象しか作中に残してないんですよ。登場人物もガノンドロフという人物を誰も理解しようとしない、情報がない。だからわかんない。

解けない問題が悔しいという気持ちから、もう十年ぐらい？昔に二次創作をいくつか書いたんですよ。

でもやっぱりなんか、釈然としない。こうじゃないって気持ち。

それから、ガノンドロフだったらこういうだろうな、と思って書いたセリフが、とても自分が書いたとは思えないような達観した感じだったから驚いた。自分で書いて自分で驚いた。いまだにそのセリフよく出てきたな～って思う。

でも、なんで出てきたのかわからないし、なんでしっくりきたのかわからないし、とにかく書ききって釈然としないんですよ。割り切れないこの気持ち。

結局、ガノンドロフってなんだろう、救いのない悪の化身ってなんなんでしょう。堂々巡りです。

色んな可能性を考えては割り切れなくて十年ぐらいどうしてかなーって考えてきたんですが、最近またふと思い返してしまいました。

スマブラでは楽しいホッピングおじさんなんですけどね。復帰が上手くできないから使うのヘタだけど楽しいです。

話が逸れました。

結局なんなんですか？ガノンドロフ。

なぜ私はガノンドロフの解釈に納得できないのでしょうか。この世界に救いのない悪という存在を私が認めたくないからなのでしょうか。生まれたものはどんな生命であれ祝福されるべきだ（同時に呪われるべきだ）という私と言峰綺礼の理念がゆえなのでしょうか。

悪人と犯罪者は違います。法の下において許されない人間は罰せられるべきであると思うし、私も一応ギリギリ社会に属するものなので、許してはいけないと思います。

ただ、法の外の物語の存在については、別じゃないかなと思うのです。

だからこそ惹かれるしわからないのかもしれません。

絶対の外側にいるから知りたいと思うし、気になるし、なんか好きなのです。

でも、わからないって言いたくないな。わかりたいな。なんか悔しいもん。

だってラスボスですよ。倒せないまま終わるなんてなんか嫌じゃないですか。

こんなところであれですが、ガノンドロフの人物像、解釈などある方は良かったらご意見ください。

私には見えない視点から、見えるものがあればぜひ知りたいと思います。