本との再会

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こんにちは、さに〜です!
今日は普段よりか少し暖かい気がします。冬至も近づき、段々と日が長くなってきますね。

最近、3年ほど前に読んでいた本を改めて読み返したのですが、ふと成長を感じました。その本というのは向田邦子さんの「無名仮名人名簿」というエッセイです。最近はこの本がまたお気に入りでずっとカバンに入れています。

今から3年前となると私は中学生か高校生の頃になるのですが、確か教科書に向田邦子さんのエッセイか何かが載っていて、私は彼女の書く文章が好きだったのか、なんだかもっと読みたい、と思ったんです。それで学校が休みの日に書店に行って文庫本の棚から探し出して、タイトルで「これにしよう」と決めました。彼女のエッセイはそもそも内容が好きだし、彼女の文章にもっと触れようと思ったのも作風が好きだったからなので当時も素敵な本だなあと思って読んでいたと思うのですが、また3年経って読んでみると、全く違うほんのような気がしました。

というのも、高校生の間は3年間朝から夜まで勉強漬けで、お昼休みも通学中もノートや単語帳を片手に過ごしていましたし、読書の時間もその日の小テストや先々の語学検定のためにこっそり単語帳などを見ていたので、本当に本を読んでいなかったので、もともと本好きだったはずなのですが、3年のブランクがあります(きっと高校生の私にとっては単語帳が「本」でした、一応本の形にはなっているので。笑)。おまけに高校生時代に大学受験の模試やその勉強で様々な文章を大量に読んだおかげで、本がまともに読めなくなっていました。これに気がついたのは高校を卒業した3月のことで、小説にしても評論にしても、ひどい時にはニュースや新聞、パンフレットなどあらゆる種類の文章で、「この人物はこの時点ではこんな風に考えているな」「この章はこんな風に論が展開されているな」「筆者の意図は」「きっと設問があったとしたらここは聞かれるよね」と頭の中で要約しながら、試験のための読み方をしてしまっていたのです。これではどんなに面白いと言われる小説も面白くありません。それで、ここ半年くらいは論文や教科書以外の文章にはなるべく触れずに過ごしてきました。

半年間、本なし生活を送っていたのですが、どうしても本が読みたい、となって、実家から以前読んでいた文庫本を何冊か送ってもらいました。その中で一番に手をつけたのが「無名仮名人名簿」だったわけですが、読んでみて不思議。これまでの「試験のための読み方」がさっぱりなくなって、内容がスーッと入ってくるし、おまけに読んでいながら彼女の心情やポリシー的なものも分かるのです。この半年間で私が昭和初期から中期くらいの時期に興味が出だしたこともあって、以前とは違ったワクワク感を感じます。今このブログを書いていてすでに読みたい衝動に駆られています。

今でも論文なんかを読むときはしっかり論理的に読むのですが、「無名仮名人名簿」はきちんとエンターテインメント、つまり楽しむための本として、読めているのでとても嬉しいです。早速、今からまた読み進めようと思います。

2021年12月21日 さに〜


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