ニュースから思うこと

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『保釈中に妹の首を絞めて殺そうとしたとして、
警視庁は20日、住居、職業不詳の小玉喜久代容疑者(77)を
殺人未遂の疑いで緊急逮捕した、と発表した。
妹で職業不詳の後藤喜美子さん(74)=東京都羽村市羽東1丁目=は
病院に搬送後、死亡が確認された。
容疑を認め、「妹に頼まれた」と話しているという。』
このニュースを、2021年9月21日、朝日新聞デジタルで目にした。

家族間の殺人が増えている。

「個」や「多様性」「自立」などの言葉や風潮に乗りルールは整備され、
「コンプライアンス」や「責任」から逃れるように
「近所」や「親戚」「学校」「職場」などの人間関係は希薄になる。
はみ出た部分は「孤」として静かに芽を出し、
毎日をやり過ごすうちに大樹となる。

抱えること、積み重ねることが当たり前になり
何年も過ぎる間に、何が哀しいのかもわからなくなる。
そんな仕組みがこんな事件を生んでいるのだろうと思う。

家族間の殺人、
高齢の容疑者、
保釈中、と言う部分に興味を持った私は
小玉喜久代容疑者は、前回はどんな容疑で保釈中だったのか知りたくなった。

共同通信社、2021年4月3日の記事によると、
『同居する三男(47)の首を絞めて殺害しようとしたとして、
警視庁福生署は2日、殺人未遂の疑いで
東京都あきる野市の母親で無職小玉喜久代容疑者(77)を逮捕した。
三男は搬送先で死亡が確認された。
「首を絞めてと頼まれた」と供述している。
 逮捕容疑は2日午後0時半ごろ、
自宅で2人暮らしをしていた三男の無職昭さんの
首を絞めて殺害しようとした疑い。
 署によると、
小玉容疑者が午後1時25分ごろに「息子が息をしていない」と110番し、
署員が布団の上であおむけで倒れている昭さんを発見した。
事件直前に昭さんが
持病の糖尿病治療に使うインスリン注射を自分に数回打った形跡があった。』
とあった。
衝撃的で涙した。
流れる涙は、同情の涙だった。

なぜなら、
1日に何度もインスリン注射をしなければならない息子の辛さを考える母親の気持ちと、
もしかしたら、何度もインスリンを打つのが嫌だとか、
血糖コントロールがうまくいかないとなど、
生きることに気力を見いだせない様子があるのでは、と想像するからだ。

このニュースにある
インスリン療法を必要としていた三男は”いい大人の年齢”。
そこから勝手な想像をして、
勝手に終わらせてしまいがちではないか。
確かに、そこだけ切り取れば、理解しがたいかもしれない。
しかし、人が死んでいる。
親が子を殺している。
そして、嘱託殺人…。
このニュースを他人事として終わらせてほしくない。

私は数年前「1型糖尿病」を知り、
インスリン療法の辛さを想像できるようになった。
そんな私はこのニュースをたどり
インスリン療法は、いつからどんな理由で必要になったのか、
その後のコントロールと様子、発病前の生活の様子を知りたくなった。

「人は誰もが苦労を抱えながら生きている。
だから自分の分は自分で背負っていかなきゃ」
「自分の悲しみは、他人に伝えることは難しい、
結局自分が背負うもの」と思っていた。
というか、今でも思っている。

でも、「共感」と言うものに救われる。
進行上の共感、事務的な共感は
吐き気がするほど気持ち悪くなるばかりだが
似たような環境の人や
それに深く携わっている人の共感は
不思議と重い荷物を軽くさせる時がある。

「個」や「多様性」「自立」などの言葉が台頭する時代、
「個」を知る意識を高めることで
「多様性」を実現し
「自立」へと向かうのではないかと私は考える。

もう上辺だけの共感は使えない。
興味を持ったことは
時間をかけて深く知る行動をとってほしい。

生まれてきてよかった
生きていてよかった、と思える人が増ますように。

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