校正・校閲に必要な力とは?

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コラム
こんにちは。校正・校閲のサービスを出品中のみねパセリです。

校正・校閲は文章のミスを見つけて正す仕事ですが、どんな人がやっていると思いますか?
「地味」「真面目そう」「そもそも存在を意識したことがない」などいろいろだと思いますが、やはり「言葉や漢字にめちゃ詳しい」「集中力があって細かい」といったイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

では、実際には校正・校閲にはどんな力が必要なのでしょう?


結局は仕事の内容次第

いきなり元も子もない答えを申し上げると、必要な力は、仕事の分野ややり方によりけりです。
オシャレなファッション誌と、○○大学学術叢書の書籍と、ティーン向けライトノベルと、新聞記事とでは、注意する点もかけられる時間も全く異なります。

なんて答えでは納得いただけないと思いますので、「私の場合」はどうか、という視点でご紹介しますね。

私はココナラでは小説や電子書籍などさまざまな文章を承っていますが、ココナラ外では、10年以上にわたって教材や情報誌、市役所の広報誌などの校正・校閲をしてきました。
つまり、対象は子どもから一般市民。情報を正確に伝える文章も、お気楽な読み物も手掛けてきた。発行まである程度時間はあるが、厳密さがかなり求められる。ってな感じの仕事が多かったわけです。


最も必要だと思う力は「記憶力」

意外かもしれませんが、私としてはこれがダントツ1位です。

何を記憶するのかというと、短期的にはその文章中に出てくる言葉です。
って、一言一句覚えるんじゃないですよ。そんなの無理です。
が、「さっきこの言葉は漢字で見たぞ」とか「見出しは12ポイントじゃなかったっけ」とか「2章前のエピソードと似てる」という感じのことを、校正しながら覚えておくのです。
たとえ原稿が5万字超えでも、です。
表記を統一するためにももちろん必要ですが、「あれ?」と思うためには、「違和感がない状況」を頭に入れておかないと引っかからないのです。

中期的にはその媒体のルールです。
単発のお仕事では必要ありませんが、雑誌や教材など著者が複数いたり、定期的に発行したりする媒体では、「この言葉はひらがなで書く」「小問の途中で改ページしてはダメ」など、独自にルールやハンドブックが定められていることがあります。
誤りではなくても、この独自ルールに則っていないと修正対象に。さっさと覚えてしまうが吉です。

長期的には、過去の校正結果です。
これはすなわち「経験」とも言えます。
これまでの校正でどんなミスを見つけたか、自分がどんな見落としをやらかしたかを覚えておきます。同じミスは繰り返さないってことですね。
ミスは無意識にやっちゃうものですから、どういうミスがあるかを知らないと、気を付けることさえできません。
ミスが許されないのに、ミスを経験しないと成長できない。校正者のパラドックスですな。

なお、この校正・校閲における記憶力は、いわゆる物覚えとか暗記力とは別物です。私は人の名前とか地図とかは全然覚えられません!


その他必要だと思う力

多角的に読める
素直に受け取るよりも、「こういう解釈する人もいるんじゃない?」と、ちょっとひねくれた見方ができる方が校正・校閲には良いです。

推測できる
正直「意味不明」で済ませたくなる文章もありますよ。でも、気が利く校閲者ならば、極力「こう言いたいならこう書いては?」と提案をしたいところ。

調査をめんどくさがらない
テキトーに書かれると、事実確認の調べ物がめっちゃ大変です。が、そこで頑張れるのが校閲者の矜持。
ただし、原稿に必要なリサーチを校閲者にやらせるのはダメですよ! 我々の仕事は原稿作成ではなく、完成した原稿の確認なので。

疑り深い
「まあ大丈夫だろう」という思い込みは大敵。何でも疑ってかかり、小学校で習う漢字でも調べるぐらいが良いです。
私は「手を挙げる」と「手を上げる」の使い分けを大人になってから知りました。恥!


意外となくても何とかなる力

校正・校閲の必須能力っぽいけれど、なくても何とかなる能力もあります(※あくまで私の場合)。どれもあるに越したことはありませんが。

スピード・速読能力
納期・〆切を守れるなら、そんな爆速で読まなくても大丈夫です。
新聞の校閲などは納期が15分とかの世界らしいですが、「速くチェックする力」は「速く読む力」とは別物だと思います。

ハイレベルすぎる漢字力・語彙力
仕事の下地として知識を蓄えることは必要です。
でも、一部の文学作品などを除いて、一般向けの文章には漢検1級とか言語学者みたいなレベルの言葉はまず出てきません。大半の人が読めない・知らない言葉は、結局何も伝えられないんです。
実務では、高校レベルぐらいまでを確実に押さえておくのが役立ちます。

学歴・資格
実は私は校正の資格を持っていません。それでもまあやれています。
箔付けに取ろうかなと考えたことはありますが、手間とお金がかかる割に、学習内容の多くがすでに知ってることなんですよね。じゃあ別にいっか、と思っちゃって。
ただ、未経験者が仕事を取るときのアピールには資格が役立つかも。


さて、いろいろ述べてきましたが、言うまでもなく、「文章を読むのが苦ではない」という能力が大前提です。
なお、校正・校閲に必要な能力はある程度、経験と努力で獲得できます。スーパーモデルになるには生まれ持った身長が必要ですが、校正・校閲者はそうじゃないんです。
多少の向き・不向きはあるものの、やる気と努力次第で誰にでもできる可能性はあると思います。


という感じでサービスを出品中ですので、文章を人前に出す時には、ぜひご利用ください。

小説はこちら(事実確認などの校閲はなし)

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