アウフヘーベン?Aufheben!

記事
コラム
高校生の時に、倫理・哲学の時間にこのアウフヘーベンという言葉を知った人は多いと思います。
私も、高校生の時の授業でその言葉を初めて知りました。
初めて知るということは、そのまま刷り込みが行われてしまい、頭の中でその意味が固定化してしまうという弊害がありますよね。

私も、このaufhebenという言葉、どうしてもヘーゲル弁証法の用語「止揚」としてしか認識してなかったのです。

そもそもaufhebenは、

auf・・・上へ
heben・・・持ち上げる。

辞書によると、aufhebenには他にも様々な意味があります。


aufheben

1、拾い上げる、持ち上げる
・・・→まぁ、フツーに考えてそうだよね。
2、廃止する、終わりにする
・・・→は?なんでそうなるん?
3、相殺する、帳消しにする
・・・→なんで打ち消しあっうことになるの?
4、取り除ける、保存する
・・・→棚上げしておく、という連想でなら、まぁギリ分かる
5、止揚する、揚棄する
・・・→ヘーゲル用語として認識
6、約分する
・・・→やくぶんってなんだっけ(算数苦手)
7、検挙する
・・・→「ホシを挙げる」という刑事ドラマ用語として理解可能


実際、aufhebenは「「は?なんでそうなるん?」の「廃止する」「中止する」という意味での方がよく使われるのです。
いまだに、ヘーゲルのaufhebenと、普通の文脈でのaufhebenが、同じものとは思えないままです。

この「廃止する」という言葉の意味でよく使われるドイツ語のテキスト・・・
マルクスとエンゲルスの「共産党宣言」なんです。
「私有財産の廃止」という時に、このaufhebenがよく使われています。

今から数か月前だったと思うのですが、ドイツのツイッターでトレンドワードとして「私有財産の廃止」が上がったことがあるんですよ。
私は時々ドイツのツイッターのトレンドワードをチェックしてます。あ、私はツイッターはしないですよ。文字数制限あると困る人だもん。

コロナが長引いて、だんだん経済的にも政治的にも不安が広がっている一つの現象かと思うのですけど・・・
ハッシュタグで私有財産の廃止!なんて出てたのですが、面白いことに、それに対する反応が「共産党宣言」発表時と何ら変わるところがなかったことなのです。

「今こそ私有財産の廃止」というツイートに対して「じゃ、僕の自転車は?」とリプライしている人がいて・・・
100年以上前も、今も、人の感じることはたいして変わらないんだなと思ったものです。
私有財産の廃止で「僕の自転車」までは取られません!(・・・多分)

だけど、おそらく、その「僕の自転車」の人や私のように、多くの人が私有財産の廃止どころか、共産主義、コミュニズムについて、知らなすぎるんじゃないでしょうか。
大学で専門的に経済史やドイツ哲学を勉強した人じゃないと、なかなかちゃんと理解する機会ってないですよね。
独学でなんとかなるレベルじゃない気がする・・・。テキスト自体が難しいし、前提知識がないと太刀打ちできないっぽい・・・。
「資本論」なんて・・・とてもじゃないけど読める気がしません。日本語訳ですら無理です!!

私も大昔に授業でちらっと「共産党宣言」の一部分だけ訳したことがあるのですが・・・不自然じゃない日本語に訳すのが精いっぱいで、意味を深くまでちゃんと理解できてたかというと・・・(惨敗)

共産党自体やっぱりカルトっぽい怪しさがあるし、赤軍とかハイジャックとか、北朝鮮とか独裁者とか・・・イメージよくないもんなぁ(笑)
それに、トロツキーだのスターリンだの・・・派閥で争って、さらに他人を陥れたり、騙したり、それで処刑とかさ・・・

共産党もちょっとはアウフヘーベン(ヘーゲル的な意味で)していくべきなのではないでしょうか?
そうでなければ、共産党自体アウフヘーベン(一般的な意味で)しちゃうとか?!

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す