アカデミック考察(その1) ポーターの国の競争戦略とは何か?

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アカデミック系の案件を多く受ける経験があることから、今回より、アカデミックの考察系ブログをココナラで始めることにしました。

第1回は、地理学のテーマとされるクラスター戦略です。

クラスター戦略とは

クラスター戦略は、マイケル・ポーターが提唱した、企業の競争力に注目した競争優位論です。

第二次世界大戦後、企業活動が国境を越えて躍進するトランスナショナル化の進展に伴い、企業が厳しい競争環境に置かれ、一部地域で産業の衰退化や雇用の低下が叫ばれる中、経済圧力への対抗策として提唱されました。

クラスター戦略は、数ある競争優位論の中でも、企業が競争戦略を持つ上で、重要だと位置付けられています。

クラスター戦略の一種である産業クラスター

産業クラスターは、クラスター戦略の一種であり、ポーターによれば、「ある特定の分野に属し、相互に関連した、企業と機関からなる地理的に近接した集団」と定義されています。

産業クラスターを構成するダイヤモンド・モデルは、主に4つの要素から構成されています。

◯投入資源の量とコストを示す要素条件
要素条件は、天然資源や人的資源、資本など、経営資源の獲得に必要なハードな部分です。

要素条件が揃うと、産業クラスターの競争優位性が高くなると言われています。

◯関連産業・支援産業
関連産業・支援組織は、最終製品・サービスを生産する企業・組織を支える関連企業です。

原材料や部品の提供、生産プロセスの一部委託など、生産プロセスにおける局面で、必要な役割を担い、企業の競争力を支えています。

◯競争環境
競争環境は、産業クラスター内の企業間に適度な競争が存在することを意味します。

競争は企業に創造性と力の創出に寄与します。

◯要求水準の高い顧客などの需要条件
需要条件は、産業クラスターの内部や近隣の需要が、他の地域に比べてどのくらいあるかを示す部分です。

なお、この場合の需要者は、単なる消費に留まらず、知識や経験を持った消費者、ユーザーであることが望ましいとされます。

クラスター戦略の具体例

クラスター戦略の具体案には、神戸市を拠点とした神戸医療産業都市があります。

人工島ポートアイランドに先端医療技術の研究開発拠点を整備し、産学官医連携により、医療関連企業の集積を図る神戸医療産業都市は、1998年にプロジェクトが始まりました。

現在では、所属企業数は344社に上り、9200人の雇用創出、1500億円を超える経済効果を生み出すまでに至っています。

神戸医療産業都市の強みは、高度なハード整備です。

1999年の理化学研究所の誘致を皮切り、先端医療センターの全面開業(2003年)や、神戸医療機器開発センター開所(2006年)などが続々とハード整備が進みました。

昨今では、2017年に再生医療研究に対応した神戸医療イノベーションセンターが開設されたほか、18年にドイツ製薬大手のバイエル日本法人が国内初となるインキュベーションラボを開設するなど、開発の勢いはとどまる所を知りません。

大学発ベンチャーの立地も進み、17年には、神戸大学バイオプロダクション次世代農工連携拠点から誕生したバイオレットが都市内で事業をスタート。18年には、京都大発のベンチャー企業、マイオリッジが神戸ラボを設立しました。

こうした企業の活発な動きもあり、3万平方米に及ぶ企業や大学向けレンタルラボは、95%が利用中になるなど、神戸医療産業都市の盛況は続いています。

産業クラスターを研究するアプローチとして、組織間のネットワークの視点や知識移転、知識創造などの項目がありますが、神戸の医療産業クラスターは、高レベルなハード整備もあって、いずれにおいても高度な能力を発揮していると言えるでしょう。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
地理学のテーマとされるクラスター戦略は、地域の産業を勃興させる上で、高度な機能を有していることがわかりました。

全国、ひいては世界に通用する産業を形成するにはどうすれば良いか、を考える際に、有用な概念ですので、産業政策に積極的に取り入れると良いでしょう。


私は、上記のように、アカデミックレポートの例文制作を手掛けています。経済学を中心に対応いたしますので、お気軽にお声がけください。




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