天元春日 周易古占例 34
本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。
今回は前回に引き続き高松貝陵の占例です。
(5)少女家出の占 【得卦 睽(けい)】
【高松貝陵の占】
少女年十三、家を出て還(かえ)らず。筮して火沢睽(かたくけい)を得たり。
それ睽の象たる、火は上って天に同じうし、沢は下って地に同じうす。
ゆえに同じうして異なるの象(かたち)とす。
また離を中女(ちゅうじょ)とす。すなわち父を親しむの意あり。兌を少女とす。また母に親しむの意あり。
今少女家を出ず。これ必ず西南にあたり母方の親類あらばこれを問うべしという。
果たしてその方に当たって母の郷(さと)に居れり。
(6)待人の占 【得卦 復之剥】
【高松貝陵の占】
待人を筮して本卦、地雷(ちらい)復(ふく)、変卦、山地剥(さんちはく)を得たり。
筮する者のいわく、復は往(ゆく)の象(かたち)、剥は来(きたる)の象(かたち)とす。
復変じて剥となる。これ遠からずして復(かえ)り来たるの占(せん)なるべしという。
予いわく、この人恐らくは復(かえ)るべからず。
はたしてその言のごとし。ある人断法を問う。
いわく、古人(こじん)皆来事(のちのこと)を占うに変卦をもってす。これ大いなる誤りなり。
それ本卦は本(もと)にしてなお木の幹のごとし。変卦は末にしてなお木の枝のごとし。
ゆえに今、本卦をいって幹(かん)卦(か)とし、変卦をいって支卦(しか)と名づく。
しかればこの待人の占いのごときは復をもって本人の體(てい)とし、剥をもって本人の意志とすべし。
かつ復の次を无妄(むぼう)とす。これ雷の地下より発して天に向かい往(ゆく)の象(かたち)なるべし。
何ぞ再たび家に復るの意あらんや。かつまた変卦の剥はこの人、始めて家を出ずるの時、人を剥するの心あって出で行きたり。
これ、俗にいわゆる駆け落ちの類なるべし。
ゆえにこの人恐らくは復(かえ)るべからずという。
※文章は読みやすくするため、適宜加削変更しています。