【統計学】「あなたも同じことをすれば成功する」のウソ

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「私はこれで成功しました。あなたも同じことをすれば成功できる」

「私はこのネックレスを買ったおかげで大金を手にしました」

この二つの文章を見てどう感じますか?

「いや、嘘つけ。そうとは限らんだろ」という人もいれば、
「そうなんだ!自分も真似してみよう!」という人もいると思います。

もちろん真似をして、実際に自分で行動してみる、というのは重要です。

しかし、ただ真似をするだけだと、どこかで大損する可能性があります。

今回は、同じことをしても成功するとは限らない理由をご紹介します。

二つの文章の間違い

先ほどの文章の間違いを5つご紹介します。

1.サンプル数が1

実験、検証など、その対象となった数をサンプル数といいます。

例えば今回、成功したのは自称成功者である話者だけなので、サンプル数は1となります。

これに対し、「1000人に対して同じ方法を試したら800人が同じ結果となりました」という場合は、サンプル数は1000となります。

さて、このサンプル数1とサンプル数1000は、どちらの方が成功率が高いでしょうか?

ここで「いや!俺も成功するかもしれない!」という方は数字に弱い可能性があるので要注意です。

宝くじで考えるとわかりやすいと思います。

100万人に一人は当たる宝くじで「宝くじで3億円当たった人にインタビューしてみた」という記事を見て「自分も買えば3億円当たるかもしれない!」と思う人は要注意です。

1人1枚買うとして、宝くじが当たるためには単純計算で100万回買う必要があります。

1枚500円とすると、合計5億円分が必要となり、2億円のマイナスです。

たまたま1回だけ成功した可能性があるので、安易に真似をするのは賢い選択とは思えないでしょう。

2.バイアスがかかっている可能性がある

バイアスというのは、人間が犯す勘違いのようなものです。

上記の例では、2つのバイアスがあります。

例えば、占い師に「黄色いものに注意」と言われ、黄色い信号機を渡ろうとしたところ、車が横切ってきて、危うく轢かれそうになったとします。

また、占ってもらった場所から信号機に行くまでの道に、花壇の黄色い花、黄色い車、黄色い横断機、黄色帽子の小学生など意識していない場所にも黄色はたくさんあったとします。

しかし、占ってもらった人は「あの占い師はよく当たる」と思っても不思議ではありません。

なぜなら、「黄色いものに注意しなさい」と言われた時点で、「黄色いもの」で「危険なもの」に意識が向いているわけです。

「黄色くても無害なもの」「黄色くて幸福を運んでくれるもの」
「黄色ではない危険なもの」には意識が向きません。

これをカラーバス効果といいます。

「私はこれで成功した」というのも「他にもたくさん失敗したけどこれで成功した」という可能性があったり、「成功する要素はそれだけではなく、他にもあった」という可能性があるので、「あなたも同じことをすれば絶対に成功する」という保証はありません。

もう一つのバイアスは、生存性バイアスです。

例えば「飛行機のダメージを調べると、翼のダメージが一番多く、運転席やエンジンのダメージが少なかった。なので、翼を強化しよう」という判断は誤りです。

なぜなら、調査対象が現在生き残っている飛行機であり、エンジンにダメージがあった飛行機は墜落して破壊されてしまうので、調査対象から外れるからです。

上記の成功者の話で生存性バイアスを考慮すると「多くの人が同じ方法で失敗したけどその人だけが成功した」という可能性も考えられます。

3.同じことをして成功するとは限らない

例えば現在、エンジニアの募集をよく見かけますが、人類全員がエンジニアになったらどうなるでしょうか?

もし「同じことをすれば成功する」のであれば、みんなが幸せになって万々歳、となると考えられますが、全員がエンジニアなので、食べ物関係などの人が減り、生活必需品が手に入りずらくなります。

極端な例ですが「同じことをしても成功するとは限らない」と言えます。

4.個人の能力が異なる

例えば、プロ野球のイチロー選手は、イチロー選手だからこそ野球で輝けたのです。

もし全員が同じことをして成功するのであれば、全員がイチロー選手のようなプロ野球選手になれるはずです。

しかし、誰もが野球選手にならないのは、個性や能力が違うからです。

成功者も、成功者自信の能力を生かしたから成功した可能性があり、他の人が同じように成功するとは限りません。

5.時代が異なる

例えば、白熱電球、ビデオテープ、カセットテープ、ダイヤル式電話、蓄音機など、昔はあったのに今はない物がありますが、これらを今生産しても儲かるとは思えません。

レトロ好きなどには需要があると思いますが、大ヒット、とまではいかないと思われます。

なぜなら、時代が違うからです。

「エジソンはこれで成功した」といって白熱電球を販売しても、今はLEDの時代なので売れるはずがありません。

まとめ

「私はこれで成功しました。あなたも同じことをすれば成功できる」という文言にはワナがあります。

1.サンプル数が1
2.バイアス
3.同じことをしても成功するとは限らない
4.個人の能力が異なる
5.時代が異なる

ただし、本当に成功する可能性もあるので、判断は自己責任でお願いします。

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