フリーの人事コンサルから視た「日本の現実」

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コラム
こんにちは、hrperficioです。
今回は占いや音楽とは関係ない話題です。
仕事柄でネットを使うことも多いのですが、とても気になるのは「日本はまだ
まだ凄い」や「日本の製造業は世界最強」、「競争力のある日本」などといっ
た記事です。
確かに部分的には世界に通用する人材や技術があることも事実です。
しかし、本当にそうなのか、製造に関わり、人材育成に関わる者からすればそ
んな事実はどこにもないのが実体ではないでしょうか。
写真はたまたまフラッと入ったお店で見つけたバスの模型です。
そのお店ではなくネットで購入しました。(ネットの方が3,000円位は安く購
入できました。)
もちろん、Made in Japan. ではありません。
模型だけでなく、この模型のモデルとなっているバスの業界は大変なことにな
っていると聞きます。
少子高齢化による利用者減、新型コロナウイルスによる社会活動制限による利
用減、社会情勢による燃料の高騰、乗務員不足などもあって、三大都市圏でも
バスの廃止・減便は既に当たり前の事実なっています。
私の住んでいる仙台市でも同様な状況で、東北の各地では更に非情な現実を目
の当たりにすることも多くなっています。
また、バスの製造もメーカーが激減しています。
バスの製造はシャーシ(台枠+エンジン+駆動部分など)を製造するメーカー
と、車体部分を製造するメーカーをバス事業者が選択して独自仕様で発注する
スタイルでしたが、現在は三菱ふそうとジェイ・バスの2つのグループだけに
なっています。
シャーシ製造のUDトラックスは撤退し、車体製造事業者も2つのグループで統
合化され、以前は製造受注していたスバルも撤退しています。
ジェイ・バス(いすず・日野連合)も観光バス・乗り合いバスは1シリーズの
みに統合されており、いすずに発注しても日野に発注しても同じバスしか購入
できません。(違いは車体前面のエンブレムレベルのみ)
日本が誇ると言われた自動車でもこのような状況で、一方ではバイドゥの電気
バスやヒュンダイのバスが国内にも多数入ってきて、今後も国産車に代わって
増えていく状況です。
これはほんの一例に過ぎません。
私は製造業で仕事を長くしてきましたので、海外の実態や日本の製造業の弱点
もわかっています。
少子高齢化や日本の構造的な問題が上記のような一例にあるような衰退を招い
ています。
半導体やスマホ、PCや家電製品などは日本製を探す方が難しくなっています。
ブランドは日本企業でも、のれん貸しだったり、ODMだったりすることが殆
どです。
もちろん、少数ではあるものの日本製のものもありますが、国際競争力はゼロ
に等しいでしょう。
これはモノだけではありません。
ヒトについても同様です。
大手企業の技術部門は自社だけでは何もできません。
協業が当たり前になる中で、頼りにしてきた下請け・中小企業が大きく減少し
ています。
職人が圧倒的に減り、技能伝承が十分になされない中で事業を畳むといった事
例が増加しています。
3Dプリンター技術やモデリング、AIによる自動化などは進んでいますが、日
本全体が何を目指して何をしようと考えているのかわからず、総花的に追い求
める姿が相変わらず続いています。
M&Aで海外企業を買っても、技術も人も生かすことができず、結局は安く売り
払うといった状況を続けているのが実態です。
若い人たちへの伝承だけが問題ではありません。
役に立ちそうにない中高齢人材も大きく増加しつつあります。
大手企業は将来的な守りの体制を目指して、40歳以上の社員の整理を行ってい
ます。
今や当たり前となった現象で、リストラをしないと経営改善に積極的ではない
として、市場で評価されてしまう状況もこれを加速させています。
こうして生まれた中高齢の人材が労働市場で溢れかえってきました。
もちろん、優秀な人材も多数含まれてはいますが、文化や風土に合わなかった
り、マネージングプレイヤーとしての能力に足らない人も多いので、簡単に中
小企業で活躍できるほど世の中は甘くありません。
(プレイイングマネージャーではありません、むしろその逆の人材が本当は中
小企業に必要な人材です。)
日本全体でグローバルのディファクトとなるレベルのスキルが足らない実態に
なっているのです。
私はモノを買う際に「日本製」といったことへの拘りは全くありません。
申し訳ありませんが、そんなことには全く興味ありません。
日本製でがっかりさせられたモノの方が最近は多いかもしれません。
国際情勢が厳しくなる中で最後は日本製だろ、という声も聞こえますが、材料
や技術、それを支える全てのモノは殆ど輸入で支えられています。
既に輸出で国際収支を支える経済構造ではないのでしょう。
また、メディアでもいわれているように日本の賃金は決して高くはありませ
ん。
既に10年程度前の段階で、管理職や専門職の賃金は中国や東南アジアの方が高
くなっていましたが、今は全職種でそうなっているのではないかとも思いま
す。
その上で品質や体裁に拘ってしまえば利益は何も出るわけがありません。
やり方を変えることで改善できることも多いのですが、日本全体が変化に対し
て保守化しており、若い世代でも現状維持を求める状況が多いのが実情でしょ
う。
志があったり、自信がある人たちは海外に進出したり、学生の頃から企業する
人も多くいます。
まだこうした人たちが居ることは救いかもしれません。
色々な問題がある中で、日本独自のガラパゴス化に自らが進み、傷を舐めあっ
て慰めているようにしか見えない時もあります。
特に同年代の人たちと話しているとそのような傾向が目立っています。
本当の現実に目を向けて、日本は何をすべきかを考えない限り、日本は後進国
に転落してしまうのではないかとも考えます。
日本は少子高齢化の先頭ランナーとして進んでいます。
いずれ、中国や韓国も同様な道を歩んでいくのではないかと思います。
人口が少ない国でもしっかりとした産業・経済基盤を持った国は多くありま
す。
単純なIT・DX思考でも日本が戦える保証はどこにもありません。
日本得意のアニメなどでもアドバンテージはなくなっており、数年のうちに中
国などが席巻することは間違いとも言われています。
私も人材育成などで微力ながら何とかしようと努力していますが、多勢に無勢
で太刀打ちできません。
本来は私の年代の人たちが資産を食いつぶした罪滅ぼしに、日本の将来のため
に力を尽くすべきだと考えるのですが、この先どうなっていくのか心配は尽き
ません。
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