リフォーム店の企画立案とシナリオ

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これは一番最近の案件です。
あるリフォーム会社(A社)から、PR動画の企画とシナリオの案件がきました。
ご存知のようにコロナの影響で巣ごもりやリモートワークが増え、それに伴ってリフォーム需要の増えています。しかしA社は折り込みチラシを行っているものの、問い合わせすらほとんど来ないので、地元でPR会社をやっている友人に相談したところ、友人は「短い動画を作ったらどうか」と提案し、私に依頼がきたのです。

さっそくA社のチラシやホームページを見たところ、ほとんど「カタログ」のような内容。トイレやキッチン、バスルームなど、取り扱っているリフォーム商品の写真がずらり。
そして文章はと言えば「リフォーム、何でもお任せください!」
私は、『あー確かにこれじゃ問い合わせは来ないだろうな~』と感じました。
マーケティングやコピーライティングの世界では「何でもできる」は「何も訴求しない」と言われています。
私はまず、リフォーム関連の書籍やネットで「リフォームやリフォーム会社に対する消費者の声」をリサーチし始めました。

すると、2つの大きなコンセプトの柱が見つかりました。
一つ目が「リフォーム会社に対するマイナスイメージ」です。
「電話で問い合わせたら、逆にしつこく営業された」
「お店に相談に行ったら営業マンに囲まれ、契約するまで返してもらえない雰囲気だった」
二つ目は「消費者は自分の家にリフォームが必要だと気付いていない」です。特に床下の木材の腐敗や、水回りの水道管の老化や汚れは外からは見えません。

この結果から『リフォーム店に親しみやすさや安心感を与えるため、店の女性スタッフに顔出しで話してもらい、その内容に対応した動画又は静止画素材をインサートする』という構成を考えました。
そもそもの依頼が「動画の予算はあまりないので、自分たちで撮影し、編集ができる知り合いに頼むので、凝ったものは必要ない。施工例などは過去に撮影した素材を使ってほしい」ということもあったので。

そして、以下のようなシナリオを考えました。

S#1『こんにちは。私はABCリフォームの小松美和子と申します。入社7年目のリフォームアドバイザーです。
いきなりですが、お客様に質問です。「このところ家の水道代が少しずつ増えている」なんてことはありませんか?
「増えている」と感じているのであれば、原因は“水道管の老朽化”の可能性が高いですね。

S#2『塩化ビニール製の水道管は年を追うごとに、もろくなってきます。それに加え、弱い地震や少しの地盤沈下でも小さな裂け目から水漏れを起こし始めます。しかも一度水漏れが始まると止まることはありません。水圧によって、どんどん裂け目が大きくなってしまいます』

S#3『修理方法としては、水漏れしている箇所だけ補修することもできますが、根本的な解決にはなりません。しかも一度の補修で数万円の費用がかかります』

S#4『であれば新しい水道管を引き直すほうが確実で、将来的な費用としては安く済みます。当社ABCリフォームは、特にこのような水道管の工事を得意としており、施工実績も豊富です』

S#5『まずはお早めにお電話ください。家にとって水道管は、トイレ・台所・浴室・洗面台など、毎日の暮らしに欠かせない屋台骨と言えます。ある日突然…「トイレの水が逆流してきた!」「台所の水漏れが止まらない!」「脱衣所の床が濡れている!」となったら慌ててしまいますよね?

S#6『毎日の暮らしを安心して送れるよう、早急な処置をお勧めいたします。では、お電話お待ちしております。(ご来店お待ちしております)』

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いかがでしょうか?
実際に水道代が増えていて「ドキッ、ウチのことだ」と思い当たったり、“トイレの逆流”を想像して、慌てて電話をかけてくるお客様は少なくないでしょう。
このように、動画の視聴者に「自分事にする」「行動を促す」というストーリー展開が不可欠なのです。
冒頭のリフォームチラシのように、キッチンやバスルームなど、ただきれいな写真を載せているだけでは、人は行動しないのです。

実際にこのシナリオ通りに完成した動画の反応は非常に高く、現地調査員が足らずにてんてこ舞いだったそうです。


ちなみに、このシナリオ以外に以下のような訴求ポイントも考えました。

『トイレリフォームを検討すべき、7つの危険な兆候とは?』
『水道管の劣化は、水漏れによるムダな水道代につながります』
『ヒートショックは高齢者だけの問題ではありません』
『バリアフリーは元気なうちに!結果的に転倒事故が防げます』
『お宅の可愛いペットは今の環境に満足していますか?』
『テレワークをもっと快適に!狭いスペースでも書斎は作れます』
『ご存知でしたか?木材を使った寝室は空気がきれいです』

これらも、「あ、これウチのことだ」「えっ、そうだったの?知らなかった」「そうか、早めに手を打たないと」と、自分の家に思い当たることがあった場合、『とりあえず一度相談してみよう』となる確率は高いでしょう。

いかにお客様に『自分ごと』と感じてもらえるか?が、マーケティングのキモですね。
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