個人事業主向け ~経費になるものならないもの~

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法律・税務・士業全般

はじめに

個人事業主にとっては何が経費になって何が経費にならないかを知っているか否かで大きな差異が生じるのが実情。

そんなの全部税理士に任せればいい!!もしそう思っているのならそれはあまりにももったいないし危険極まりないから注意が必要だ。

結論

結論は非常にシンプル。
「収入を得るために必要だった支出 = 経費」と考えればいい。

例えば喫茶店でクライアントと打ち合わせをすれば経費になる
ただ涼むために少し喫茶店に寄ったのであればそれは生活費だから当然経費にならない
喫茶店の方が集中出来るからと個人事業主としての業務を喫茶店でやってればこれも当然経費になる

結局のところは最初に述べた通り「収入を得るために必要か否か」で考えるだけでいい。

あとはこれらを客観的に証明できれば良いだけ。
誰かと打ち合わせをしたのならその相手の氏名等と打ち合わせ内容を記録すればいい。
作業に集中していたのならその日に実施した作業を記録すればいい。

逆にこういったことが何もないのに「これは仕事のため」と言い張ってもそれはただそう言ってるだけだからなんの証明にもならない。

ちょっとしたことだけどこれらを日常的に実施しているだけで税務調査があっても何も恐れず経費性について説明ができてしまう。
反対にこれらを知らないと経費性を何も証明できないのでそこから先は水掛け論だ。

経費性の応用

経費の話しでよく出るのが自宅の家賃。
特に自宅で作業をしている人からしたら切っても切れない関係だ。

問題は自宅の場合は仕事をしている時間と生活している時間が混在している点だ。
生活費は経費にならないためこの「仕事の部分と生活費の部分」を明確に分ける基準を設けなければならない。

とはいえここもそんなに難しく考える必要はない。
ここも第三者が納得を得られる根拠づけがあればいいだけだ。
無論屁理屈は無意味。

たとえば書斎や撮影用の部屋をもっていてそこで普段作業をしているのなら面積割合で案分をしてしまえばいい。

たとえば時間を測って作業をしているのなら24時間を作業時間と生活時間に分けて経費も案分すればいい。

ここに絶対的な基準はなく、あくまでも合理的に説明のできるように区分することが出来ていればそれで事足りる。

本当にそれで事足りるの?

国税庁が公表している文言を引用すると下記の通りだ。

家事上の費用は必要経費となりませんが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。

専門用語まみれでよく分からない?
要約するとこうだ。

・家事上の費用 = 生活費
・生活費 = 経費にならない
・でも生活費と経費両方に当てはまるものがある = 家事関連費
・家事関連費は特別に一部経費にできるよ!
・ただし、経費として必要だったことが明らかに区分してね!!


という感じだ。
ポイントは最後の「家事関連費の内経費になる部分は取引の記録などに基づいて業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限る」だ。

記録に基づけばいいので別にやり方は任せるよと読み替えられる。
これさえ知ってればもう家賃や水道光熱費などの内いくらを経費に出来るかを悩む必要もなくなるね。

税理士に任せるのが無駄な理由

攻めた見出しだけど割と真理の部分。
たとえば前述の「家賃を書斎とそれ以外の部分の面積に応じて経費にする」と決めたとする。
もしこれを決める前に税理士に相談したらどうなるだろうか?
はっきり言って税理士次第で様々な回答が返ってくるだろう。実態に即しない的外れなことを言う人もいれば、真摯に相談に乗って適切な回答を導く人もいるだろう。
でも結局は税理士次第なので運ですね。

ではどうすればいいか?
答えはシンプル。
税理士には「任せないで」「相談をする」こと。

「自宅の家賃を経費にしたいのですが、書斎と撮影部屋の面積の合計とそれ以外の部分の合計で案分しようと思うのですが大丈夫でしょうか?勿論実際に自宅で仕事もしております。」

こんな質問をしてみれば二つ返事で回答が来るでしょう。

ちなみに経費に関する知識がなく学習も足りない人の多くは「自宅の家賃って経費にすることはできるのでしょうか?」という質問を投げるでしょう。

無論この質問自体は大切な事。
ただ「経費」について理解していれば当然もう一言必要になる。
ここまで読んでいる人ならピンと来ると思う。

そう、「自宅でも仕事をしているのですが家賃って経費にすることは出来るのでしょうか?」

この一言がないと「ただ住んでいる家の家賃を経費に出来るか否か」という質問も内包されてしまう点に注意だ。

税法上の条文を把握する必要はないけど最低限のコミュニケーションが取れるように知識を仕入れることが大切だ。

税理士任せは危険について

だいぶ経費について見えてきた。
そんなところで1点クイズを出そう。

Q.以下の支払いは経費になるか否か
 スーパーで買った食材。

A.ものによってはなる!

勿論一般的にはスーパーでの買い物は生活費だ。
生活のために食材などを買うからね。
であれば当然経費にはならない

でも例えばコミュニティ運営を生業としている人が交流会のためにバーベキューを開催したとする。
参加者のために食材なども一式準備するときにスーパーで食材を買ったとした場合はどうだろう?

途端に「収入を得るために必要な支出」、もっと言えば「業務遂行上必要な支出」になることが分かるだろうか。

これならばスーパーでの買い物だろうと当然経費になる

では改めて見出しの税理士任せは危険について触れてみよう。
会計事務所などに領収書を丸投げして経費性の判断も丸投げしていたとする。
スーパーの領収書なんて見た瞬間「経費に該当しない」と判断してしまう人も一定数以上いる。

当然だ。領収書を見ただけでは何のために使ったかなんてわからないからだ。

領収書には「いつ・どこで・なにを・いくらで」買ったかぐらいしか書いていない。
そこに目的なんて記載されていない。

丸投げされた側はそれが経費に該当する支出か否かなんて領収書を見ただけでは当然分かりようがない。

丸投げしているが故に本来経費になるべきものが経費になっていないというケースなんて往々にある。

反対もしかり。
本来経費になんてならないのにそれを経費にしてしまっているケースもある。
それでリスクを背負うのは事業主側だ。
これもまた当然の話し。

もしあなたが碌に相談の機会も設けず、碌に整理もせず領収書を丸投げしているのなら注意が必要だ。

本当の意味でそれが「経費か否か」は使った本人にしか分からないことを実感しよう

最後に

結局のところ自分の身を守れるのは自分のみ。
「追徴課税 ニュース」などで検索してみよう。
多額の追徴がされていてもそれを申告した税理士の名前が出ることなんて滅多にない。

個人事業主をやっていると細かい作業をなるべく外注したくなる気持ちはわかるけれども、知識もなくとりあえずアウトソーシングしてしまうと痛い目に合うのは自分自身だ。

今は会計システムのクラウド化も進んでいることから最低限の知識さえ身につけておけばある程度自分自身で決算書なんて作れる時代だ。

もし誰かに丸投げするとしても緊密なコミュニケーションが取れる状況を作ろう。
若しくはシステムを上手く活用してある程度自身で完結するようにするのも好ましい。

ちなみにわたしが勧めるクラウド化の会計ソフトはマネーフォワードかFreeeだ。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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