生きる道:副業のバイブル ~今なぜ副業なのか~①

記事
ビジネス・マーケティング
●「本業の場」の狭窄化と崩壊

・自己防衛策を考える
前書きで少しだけ触れましたが、百年に一度と言われるほどの不景気に見舞われている中、日本も自動車産業をはじめとし、輸出産業・メーカーは大打撃をくらい、その影響の矛先は、派遣労働者から契約社員、そして正規社員にまで及ぼうとしています。
職場を失った労働者にしてみたらこのやりきれない気持ちをどこに、誰にぶつけていいのか分からない、この無念さを、企業がどこまで理解しているのか。かつてはその力を誇っていた労働組合も今ではその数も減り、(戦後ピーク時に50%を超えていた推定組織率は、2007年には18.1%まで低下している。厚生労働省「労働組合基礎調査」より)、その位置づけは、企業あっての組合でしょ、会社が潰れたらどうするの? と言われたら、逃げ腰で意気消沈、素直に妥協してしまうこの頃ですから、労働者の権利を保護するのは誰なのか。
しかしながら、世の流れとはいえこれが企業防衛の最たる手段(常套手段)だということは、否めない事実なのです。
もっとも、こういった手段を取らざるを得ない理由は明白、見ているのは株主様だからです。顧客や社員は二の次といった、決して表面化することのない企業の「腹」があるからです。まあ、これに関して議論するつもりはございませんので、これぐらいにしておきます。
ちょっと話は逸れますが、今の大学生の就活において求める企業とはいったいどんな企業だと思いますか?
話の流れ的に察しがつくかと思いますが、「安定した企業」なんです。より安定した企業を彼ら、彼女らは探しているのです、自分はともかく周りばかり気にし、相手だけを見て、そして必至になって。
過日こんな話を聞いたことがあります、それはある学生向けのセミナーで講師に対して投げかけられた質問の中に
「潰れない会社を教えてください、どの会社ですか?」
というものがあったということです。
その講師の方は、「その質問を聞いたときはガックリきた」とおっしゃっていました。そもそもこのお話は世界同時不況が起こる以前のことでしたので、少なからず学生の中には安定志向があったということでしょう。それが今では会社選びの第一の条件、いわゆるMUSTとなっているといっても過言ではないかもしれません。

・他者評価で判断するな
因みに、筆者が就職した時代は、銀行・証券・保険といったいわゆる金融系企業が花形でもありました。これらの会社に就職できたら、誰しもが「いいところに入ったね」って言ってくれたものでした。それがどうでしょうか、バブルの崩壊と共に多額の不良債権を抱え、公的資金(国民の血税)まで投入して、その存続を謀るべく再編を余儀なくされるようになったのです。
かつての花形産業も、ガタガタとその土台から崩れるようになってしまったのです。また、公務員(行政機関)を希望する者も多い時代でした。それはそうです、何しろ定年まで安泰、辞めても恩給が付くとなれば、みんな行きたくもなったわけです。ただし、そのお役所の職員さんの働きっぷりを見て、そこにある種の魅力を感じた者も少なくはなかったと思います。
何故なら、「役所は楽でいい!」これが、共通した意見でもあったからです。
ところがどうでしょうか、その行政も今ではあらゆる無駄の指摘を受け、その延長線上ではあってはならない不正が発覚し(してしまい)、その襟を正すべく(そうせざるを得なくなった)再編の道を進んでいる今日なのです。
私事ではありますが、巷の意見や考えを真に受けず、金融系に入らなかったことは、筆者にとっては正解だったと思っています。とはいいましても、自分の考えを貫き、紆余曲折な時間を経過させてきましたし、様々な障害があったのもまた事実です。ただそんなキャリアを積んではきましたが、それはそれで先に述べました、プランドハプンスタンスセオリーが展開された、と実感しております。
先のような質問を受けたとしたら、「ホント今時の学生は・・・」と皆さん口を揃えて言いたくなるのではないでしょうかね、特に年中採用面接等を担当されている人事・労務の方は余計そのように感じるのではないでしょうか、ヒシヒシと。
しかし前述したように、労働者の命の綱である雇用の機会を、一部上場の超大手企業を初め、知名度の高い企業、人気上位の企業が奪いつつあるのですから、これからその荒波の中航海へ出ようとする学生は、より波の少ない航路(小さな安定)を求めて進むのも当然だと言わざるを得ないわけです。
ここで断っておきますが、企業側が全くその努力を怠っているとか、していないとか申しているのではありません、それなりにされている、してきた結果止む無く、ということだろうと理解してのことです。疑問はありますが・・・。
これから「副業」を語るに必要な前提要因として、最近の学生の就活にふれてみました。過のような状況の中で、希望する企業に入社できたら幸い、それ以外はある程度妥協のうえ就社(就職ではないのです)しているのですから、個人の価値観と、どの程度フィットするのかはかなりの疑問に感じるところです。

・副業の捉えられ方
参考までですが、ここにリクルートワークス研究所がおこなった、副業に関するアンケートの数字をご紹介してみましょう。
「ワーキングパーソン調査2006」首都圏6500人アンケート
副業をしている者6.2%  副業を希望している者 21.6%
との結果がでたようです。実施年が2006年なので、少々古いのですが、既に行っている人と、希望している人の合計が、約28%弱ということを捉えてみると、それから3年経過した現在では、もっと数値が高くなっていると予想するに、難しくはないと思います。
それに対して、現実的な意味深なデータがここにありますので、こちらもご紹介しておきましょう。
こちらは、ある人材系企業が本年2月に行ったアンケートの結果です。内容はずばり「副業を認めているか」といったものです。
その結果は
Q1、社員の副業を認めているか
認めていない・・・・・・・73%
禁止の規定はない・・・・・12%
雇用形態によっては認める・8%
その他・・・・・・・・・・4%
認めている・・・・・・・・3%
(Q2以降の結果は巻末を参照ください)
というような結果になっているようです。
その理由についても巻末に記しておきますので、是非参考にしてみてください。
端的に言うと、業務・業績に影響のあるものは「不可」なのです。
これはいうまでもなく、常識的なことだろうと思います。泥棒に追い銭でもありませんし、わざわざ自社と競合するような企みを認めるはずがありません。裏を返せば、そこまで自信をもって言えるような力を持ち合わせていない、そんなことだとも想像できると思います。

つづく
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