身体の歌を聴け

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コラム
タイトルが村上春樹の小説みたいになりましたが、今日は身体の声について書いてみたいと思います。

私は今年1月からフォーカシングというカウンセリングを月一回受けています。時間は50分プラスアルファー、大体1時間です。カウンセリングの内容は自分が感じる身体の声に耳を傾けるというものです。

今のは身体の声なのか?それとも自分の頭の中の思考なのか?

最初はこれが全くと言っていいほど区別がつきませんでした。フォーカシングを進めてくれる方のことをガイドと言いますが、ガイドの方に「それは頭で考えていますね」と言われると否定できないことが多かったのです。慣れてくると身体の感覚(右わき腹になにか不快なものがある、左の首筋が引きつっている、脇に拘束感を感じるなど具体的な身体の反応)は分かるようになってきますが、それにハンドルという名前をつけたり、そのハンドルをどこかに置いたり(これはある意味意図的に思考を使いますが)、それが何を自分に語りかけているかを問われると明らかに頭で考えているなと自分でもわかることがほとんどでした。

フォーカシングを初めて半年ほど過ぎたころ、こんな体験をしました。私はいつも右わき腹に不快感を感じるのですが、その時ガイドの方からこう言われました。

「今、右のわき腹に出てきたものに感謝出来ますか?出てきたことについて」

そう言われて実のところ私は面喰ってしまったのです。ただでさえ不快感なのですから感謝するという意味がどういうことか私には理解できませんでした。少し沈黙しているとガイドの方がこう続けて言いました。

「今日はそれが言いたいことを聴いてみましょう」

意識の中でどうにでもなれといったあきらめの感覚が現れ、頭の中が白くなって行きました。だいぶ沈黙の時間が続きました。

「そんなに嫌わないで。僕は君の一部だよ」

笑わないでくださいね。長い沈黙の後、本当にそういう声が聞こえたんです。

「どうしました?」

ガイドの方の声で我に返った私は目に涙を浮かべ、笑いをこらえていました。不思議な体験でした。身体の力が抜け、不思議に笑いがこみあげてくるのです。笑いと当時に何故か目が潤んできたのを憶えています。フォーカシングでは身体の反応のことをフェルトセンスと言いますが、それが変化し何かに変わることをフェルトシフトと言います。笑いや涙はそのフェルトシフトが起きた時によく表れる反応だとあとでガイドの方が教えてくれました。

それから私は右わき腹の違和感に親近感を覚え、不快感と言うよりも存在感を感じるようになりました。その反応に私は「自発エネルギー」という名前を付けています。最近はこの反応を感じることで自分の内部にエネルギーを感じるようになりました。そして調子や気分がいいと、この「自発エネルギー」の声が歌っているように聴こえるようにも。

ここまで書いてきて、読んでいただいている方にうまく伝わるかなと少し不安な気持ちが出てきましたが、身体と言うの行動心理学や認知行動心理学においても心の動きに重要な働きを及ぼすことが実証されています。是非皆さんも身体の声とうまく付き合うことができるようになれば、自分というものを今まで以上に認識できるようになります。ファーメンテーション・コーチングではセッションの中にフォーカシングのエッセンスを一部取り入れています。身体の声が歌うのを聴いてみたいと思う方、一度セッションを試してみてください。
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