中国のお母さん達の大きな味方 月子会所とは?

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中国では次から次へと新しい業種が出てきます。短期間でものすごい勢いで普及し、アッという間にしぼんでいく業種もあれば、少しずつ伸びていく業種もあります。今日はそんな新業態の中から「月子会所」をご紹介します。

中国では出産してから一か月位、「月嫂」といういわゆる産後ヘルパーを雇って生活の面倒から赤ちゃんの世話まで見てもらう事があります。赤ちゃんも見てくれるお手伝いさんという感じです。

また家に来てもらうのではなく、産後1か月をのんびり過ごすための施設に入ることもあるそうです。この施設を「月子会所」と言います。

安いところは病院のような大部屋で、食事や赤ちゃんの世話をプロにしてもらいます。少し高くなると個室になり、セレブ用の施設になると高級リゾートのようになります。私も何件か見て回りましたが、ホテルの高層階を貸し切っていたり、大きな塀で囲まれていたりして関係ない人は容易に入れないようになっています。そのため女優などの著名人の方々も安心して過ごせるのだとか。
北京にある高級な施設では病院が経営母体になっているため、施設内にはメディカルチームが常駐しています。産後の様子から赤ちゃんの事まで色々なことを無料で相談できます。

施設内にはエステなどもあり、妊娠線を消すためのケアや肌や髪のケアも出来ます。通常のマッサージは勿論母乳を出やすくするための乳腺マッサージも可能です。食事は薬膳を中心としたメニューでオーガニック野菜を使用。お母さんの体が回復しやすいようなメニューが組まれています。その他にも赤ちゃんへの授乳指導などもしてくれるそうで、産後不安なお母さん方を全面的にバックアップする施設になっています。

費用は…というと施設や都市によってかなりばらつきが見られます。食事からケアから全ての費用が含まれる施設もあれば、食事や医療は別、という施設もありなかなか一概に語れませんが、例えば北京だと普通レベルで28日間平均80万円、良いところなら平均160万円位だそうです。地域によって値段にばらつきがあり、地方都市では平均32万円位というところもありました。私が行った上海は一番高いところで500万円でした。たった28日間だと考えると恐ろしいお値段です。

市場規模としては2011年に約17億元だったのが徐々に増えていき、2018年には125億元になり、2019年には160億元が見込まれていました。(2019年12月のデータより)2018年には出生率が減っているのですが、市場規模はそれでも増えています。2020年はコロナの事もあり、こういった施設もさすがに苦境を強いられたのではと思います。

月子会所は2008年に出来て、2011年から徐々に増え始めた業態という事で、まだまだ歴史が浅く問題もあるそうです。例えばオーガニックだと言っていたタオルがそうじゃなかったというような小さなことから、お医者さんのアドバイスがいい加減、看護師だと言っていたのに資格を持っていなかった、など健康や品質に関わるような重大なことまで色々な口コミが見られます。乱立気味なところもあるので、これから淘汰されていき、最終的には良いところが残るのではないかと思います。

産後間もないお母さんを全面的にバックアップするためにはそれなりの建物と人材が必要になるため、日本で同じように展開するのは難しいかもしれませんが、土地が安い地方都市などがこういった施設で人を集めるというのもありなのかなとも思いました。

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