変わりつつある中国のカウンセリング事情とは

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ビジネス・マーケティング
大分お久しぶりになってしまいました。
最近いくつか依頼を受けて中国の市場マーケティングをしていました。なかなか面白かったので少しシェアします。

まずは中国のメンタルヘルス市場。
日本でもコロナ禍が長く続く中、うつ病になるとまでは行かなくても、何となくイライラしがちだったり、気分が落ち込みがちだったりする人も多いのではないでしょうか。
外出、友達や恋人との食事、旅行や観劇などの娯楽が制限されるようになり、今まで日常的に発散出来ていたストレスが積もりつつあるのは世界中どこでも同じようです。

中国のカウンセラー

中国は人口が多い分、こういった心の病に対する市場も大きいような気がしますが、実の所2000年代初めから潜在的市場としては大きいと言われながら、なかなか発展していない分野のようです。人口が多い分、発症率が低いとしても相当な数の患者がいると思われますが、今でも精神科や心療内科へ行くことに抵抗がある人が多いとか。

心の病についての理解度が低いのもありますが、もう一つ問題となっているのがカウンセラーの質が安定していない事です。中国のカウンセラーは割と簡単に資格が取れるため、2級、3級カウンセラーの資格を持つ人は120万人いると言われています。

それでは3級カウンセラーはどういう資格なのかというと、専門学校か大学で勉強し、民間の養成学校で履修証明書をもらうと簡単に取れてしまうそうなのです。
つまり実務経験なしで資格が取れてしまうのです。更にこの「民間の養成学校」の中には怪しい所も混じっていて「申し込めば取れる」というようなものあるとか。

そういったわけでカウンセラーに対する信頼度が低いというのも市場が伸び悩む原因の一つとなっています。

コロナ禍で人気が上昇中のオンラインカウンセリング

そんな状況が続いていた中、コロナ禍が始まり、オンラインカウンセリングの人気が急上昇しています。

オンラインカウンセリングとはその名の通り、ビデオチャットなどを使って受けるカウンセリングです。オンラインカウンセリングのプラットフォームに個人事業主でもあるカウンセラーが登録をします。いわゆるココナラのカウンセリングバージョンです。

それぞれのプロフィールには対象年齢、性別、得意分野(仕事・恋愛・人間関係・離婚等)、価格などが記載されています。そして大切なのが評価制度。今までカウンセリングを受けた人が評価し、コメントをしていくので、カウンセラーの質をすぐ見分けることが出来るのです。

オフラインカウンセリングだとカウンセラーを自由に選ぶことは難しいですが、ここでは評価や年齢・性別などを見ながら自分の希望に合った人を選ぶことが出来ます。合わなければ次は変えてもいいですし、何よりも誰にも知られず相談することが出来る。そういった手軽さが人気の秘訣です。

肝心の価格ですが、大体500人民元(8000円程度)が相場のようです。決して安い価格ではないですが、人によってはかなり仕事を受けていました。それだけ悩んでいる人が多いという事なのでしょう。


2020年秋には中国政府が今後国民のメンタルヘルスに力を入れるという宣言をしており、うつ病についても啓発活動を行っていくようです。
そういった事を考えると今後、長らく停滞していたこの市場にも動きが出てくるかもしれません。

人の健康にかかわる分野ですから、カウンセラーの質の向上や怪しげな商品の排除など、色々な法整備が待たれるところです。


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