膝関節の伸展制限に対する運動療法

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変形性膝関節症の保存療法に関するお話です。
変形性膝関節症の症状のひとつに歩行時痛があります。
これはLateral thrustといわれる現象として表れ、脛骨大腿関節の不安定性を意味します。

脛骨大腿関節の不安定性を来す原因のひとつとして「膝関節の伸展制限」があります。膝関節が伸びない (= 伸展できない)と、骨や筋肉、靭帯、関節包などが緩んだ肢位となるため、不安定性が増大してしまいます。
伸展制限を改善することで、歩行時痛が軽減することはよく経験しますのでどの組織が原因なのか、よく評価することが重要です。

【評価】
①Heel Height Distance
腹臥位で、左右の踵の高さを比較します。軽微な伸展制限でも簡単に評価できるので臨床上よく行います。
②疼痛
伸展した時にどの部位に疼痛が生じるかも重要です。伸張痛なのか、圧痛なのかも分けて考えます。どのような条件で疼痛が出現するかによって、運動療法も異なってきます。

【半膜様筋へのアプローチ】
起始:坐骨結節
停止:脛骨内側顆内側部から後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋膜、後方関節包、内側側副靱帯

①腹臥位
②膝関節45°、下腿内旋位で保持
③脛骨後面をしっかり把持し、トラクション(牽引)をかけながら、ゆっくり伸展する。(トラクションをかけるのは前方でつまるのを防ぐため)
※半膜様筋は後方に広く停止しているため、回旋の誘導は必要なく、大腿骨長軸に合わせて誘導すれば良い。

【大腿二頭筋へのアプローチ】
長頭
起始:坐骨結節 停止:腓骨頭
短頭
起始:大腿骨粗線外側唇 停止:長頭腱を介して腓骨頭
※膝関節の伸展制限において要因になりやすいのは単関節筋である短頭に多いため短頭にアプローチする。

①腹臥位
②股関節外転位とする。(長頭を弛緩させるため)
③長頭の筋腹よりも外側へ流れるのが短頭
④下腿を内旋位に保持し、膝関節の屈曲を誘導しながら短頭を収縮させる。
⑤十分に収縮させたら伸展へストレッチを行う。
繰り返し行い柔軟性の改善を図る。

その他、膝窩筋や薄筋が伸展制限の原因であることもあります。
靭帯ではMCL、LCL、ファベラ腓骨靭帯、後方関節包が関与していることもありますので、それぞれ適したアプローチをしていきましょう。


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