「ひとすじの愛」

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コラム
めったに飛行機に乗らない僕ですが、今年のはじめにどうしても飛行機に乗る必要があって利用したときの事です。
隣り合わせになった女性とお話しする機会がありました。
その女性は作家の松平みなさんでした。僕の仲間や知り合いに本を出版している人は何人かいますが、作家さんと知り合いになるのは初めてでした。
10月に新作の「ひとすじの愛」が刊行されました。
その作品を読み終わったところです。
ネタバレになるので詳しくはお話ししませんが、素晴らしい物語です。
戦時、戦後、現在を通して描かれる物語ですが、僕の場合は戦争の空しさ大きく感じました。
物語では、主人公イネを取り巻く人々のさまざまな形での愛が語られています。
特に感動したのは、主人公の父母の愛です。
そして物語の中心は、主人公が22年間、離れ離れになりながらも愛し続けた一人の男性との愛です。
22年間も、離れ離れの一人の人を思い続けるなんてできるんだろうかと考えてしまいました。
しかも安否さえ分からないのに。
そんな風に考えていたのですが、そう言えば僕自身にも言えることだと気がつきました。
僕は20年前に妻を病気で亡くしました。
しかし今でも毎日彼女の事を思い出し、いつも一緒に居るように感じています。
今でも愛を感じます。(存在への「感謝」の方が正しい表現かもしれません)
むしろ亡くなってからの方が近い存在になったかもしれません。
この間、いろいろあったけど、あっという間の20年でした。
一緒に居ても冷え切った夫婦や離婚する夫婦は山ほどいるのに、僕は亡くなった妻に今でも愛を感じることができる。
これは縁なのだと思います。
お互いに生まれる前から縁があって、今も縁は続いていて、死んだ後の事は分かりませんが、そこでもつながっていくように感じます。
その縁の強い人と、運よくこの世で出会えたと言うことなのだと思います。
これはものすごく幸せなことだと思います。
もし今でも彼女が生きていたら、本当にうまくいっていたかは分かりません。
もしかしたら、毎日ケンカばかりで険悪な関係になっていた可能性もあります。
だけど、縁の強さはあったのではないかと思います。
それは亡くなってみて初めて分かることなのだと思うので。
そばにいると空気のようなあたり前の存在になって、感謝や慈しみを忘れがちになるのが人間なのでしょう。
そばに居てくれる人を大切にしよう。
そんな風に思います。
「ひとすじの愛」はそんなことを僕に教えてくれました。
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