「不安感」ではなく 「安心感」でメンバーを動かす

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ビジネス・マーケティング
部下やチームメンバーを動かすには、大きく分けて2種類あります。
一つは、相手の中に不安を作り出し、相手がその不安を解消させようとする気持ちを利用する方法で、
もう一つは、逆に安心感を与えて、相手が内発的で自発的な行動を起こすことです。

前者は、
成績や実績が期待値や KPI に満たないと、叱り、それによる周りに対する影響や「周りへの迷惑」といった罪悪感をかきたてさせたり、自分が不十分だったことを認識させ反省させ、「このままだとヤバい」と思わせる、といった感じで、相手を不安に陥れます。
良い結果を出した時だけ「よくやった」などの言葉で褒めて、すぐに次への結果を求めて不安を示唆する。
程度の差はあると思いますが、多くの経営者、管理職は昔も今もこの不安を作り出す方法で、部下やメンバーにモチベーションを持たせています。
会社などの組織の中だけでなく、家庭内でも教育の場でも、このような不安をあおり行動を起こさせる方法が多くあります。

一方、後者は、
不安ではなく安心感を与え、相手が自ら行動を起こすことができるように関わっていく方法もあります。
名前を呼び、ともに仕事をできることの素晴らしさを直接的にも間接的にも常日頃から伝えて、
相手のために十分な居場所を確保し、相手が自由に創造的に動けるように支援していくアプローチです。

不安をベースに相手を動かす場合は、褒める行為の使い方が重要になります。
どの行動に対して、どのタイミングで褒めるか。
それは伝家の宝刀のようなもので、軽々しく出すものではありません。
一方、安心感をベースに相手を動かす場合は、存在承認が重要になってきます。
存在承認とは、「その人がそこにいるということに自分は気が付いていて、それを相手に伝えていること」です。
声をかける、あいさつをする、話を聴いてあげる、名前を呼ぶ、その人の過去の言動を覚えていて話題に出す、
などの行為がそれにあたります。
単に褒める行為承認のとは異なります。

安心感をベースに人を動かそうとする場合も、褒めるという行為は当然使われます。
ただ、その目的は相手の不安の解消ではなく、褒めた行為の相手に将来的に維持継続してもらう、
つまり「その線でやっていってもらう」ことにあります。

以前(10~20年以上前)のような大量生産・大量販売の時代や、人数がいて人月計算で月々の工数でリソースを考えられていた時代であれば、不安を煽ったマネジメントでも十分やって行けたと思います。
とにかく動いて、目の前のことを頑張っていればよかったわけですから。
しかし、より僅差の競争に勝ち抜き、現場でもかつてないほどに一人ひとりの創造性やその場での判断が求められるような、VUCAの時代の現在では、不安よりも安心感をベースに置いた心理的安全性を重視した方が組織として強いのではないかと思います。

また、メンバーみんなが会社で頑張って上を目指そうとしたときは、不安マネジメントは機能していましたが、
現代のように価値観が多様化し、別に仕事も合わなければ辞めればいい、という時代になると不安マネジメントは一部の上昇志向・成長欲求の高いメンバーにしか効果がないアプローチになりかねません。
メンバーの皆さんに対して、どのような存在承認ができるのか、考えてみるのも良いのではないでしょうか。


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